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その7_やっぱり再建にこだわるあたし【1】乳ガン患者の想定シナリオ

2度目の発病だってことの影響

 まず前提として、この時点で、あまり悪性度が高くないガンが、ゼロ期という非常に早い時期に見つかったというラッキーがあり、はやい話がこれで死ぬとかいう人はまずいないです、という深刻ではない状況にあたしはおります。

 その前提にあっても、せっかく20年も経っていて、完全に寛解患者の生活に慣れきっていた自分が、「やっぱり」またガンを抱えてしまったってのは、相当ショックでした。いくら笑って過ごしていてもリスクから自由ではないんだな、我が家ガン家系なんだよな、3度目だってあるかもよね、などの想念が湧いて広がります。

 このような想定が、20年前にもあったかというと、実感としてはありませんでした。初めてなっちゃったことの不運が大きくのしかかるだけで、この先のことなんか考える余裕はなかったです。
 だけど、「一度放射線を当てたら、再建したくてもシリコンインプラントは使えなくなる」という物理的な事情は、「もし再発したら」「もし反対側にも転移したら」「ものすごくおっぱいの形が損なわれる手術になってしまったら」といった様々な想定から、もう自分が逃げられないところにいるんだと思い知らせてくるわけです。
 今の選択が全く分からない将来の選択肢を狭めるかも?ということ含めて。

自家組織再建もだれでもできるわけじゃない

 シリコンインプラントと放射線療法が両立しないことは案外知られてません。でももしかしたら、シリコンではない自分の組織を使ってやる乳房再建が、「喫煙歴があるとできない」ってことは、もっと知られて無いかも知れませんね。それは喫煙が血管その他のコンディションを悪くするため、生着率がすごく悪くなるからだそうです。

 ってことは、スモーカーにとっては、シリコン使えません、イコール、もう再建術は受けられません、ってことなんだよね。いや、あたしはスモーカーじゃありませんけど、家族が喫煙してたこともあるし、スモーカーいっぱいの学校や職場にいたこともあります。影響がゼロかどうかわかりゃしません。

 再発して例えば全摘出になったら、「もう再建はしなくていいや」って人は確かにいます。それから、若い時にはそうは思えなくても、病気を経て歳を重ねた結果、胸のふくらみを取り戻すことに全くこだわらなくなる人も一定量いらっしゃることでしょう。

 でもさ、どうにもそれは受け入れられない、という、あたしのような人もいるわけです。いたっていいでしょ。

ひとつ100万円のバスト

 実は再建が日本において、「治療」と認められて保険適用になったのって、ほんの10年前からです。だから20年前、あたしが最初の手術をしたころは再建術は保険適用外だったのです。アメリカではとっくに治療の一環でした。そりゃ治療に決まってるじゃん?これは美容整形とは違うでしょ、というのが患者たちの声でした。

 患者の声や現場の働きかけがあって、保険適用になったのですが、それまでは、要するに「高価な」手術でした。大雑把に言って、1おっぱい100万円ぐらい。両方やったら200万ですよ。両方やったお友達もいます。
 だから、費用を理由に再建をあきらめる人も、昔はたくさんいたのじゃないかと思います。

 その他、身体を切るのはもう嫌、という理由で再建を選択しない人にも会ったことがあります。部分切除ではなくて、全摘して、その後二次再建の選択肢があったけど、やらなかったというお話でした。
 再建したけど、乳首はつけなかったという人もいました。本当に人はそれぞれなのです。理由も一つではありません。

 で。あたしは自分が20年前と、ほとんど考え方が変わってないなと思ったわけです。やっぱり自分の身体イメージにはこだわりがあります。もちろん身体そのものは老けちゃってるし、心にも変化はあったんですけど。

つづく。



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SYNDI おひねりをもらって暮らす夢は遠く、自己投資という名のハイリスクローリターンの”投資”に突入。なんなんだこの浮遊感。読んでいただくことが元気の素です。よろしくお願いいたします。