その9_やっぱり再建にこだわるあたし【3】もう一つの特殊事情
20年前には最高の素材と言われていたけど・・・・
前回の再建手術の時、形成外科のクリニックで、日本一たくさんおっぱいを作っていたであろう有名なI先生(女ブラックジャックという異名がありました)が、あたしの胸に入れるシリコンインプラントを選んでくれました。
先生はおっしゃいました。
今現在では最も安全で、もっとも良いと信じるものを選んでいます。ただ、この先これ以上にいいものができるかもしれないし、何か問題が発見されるかもしれない。その時には入れ替えることも考える可能性があります、と。
それはコヒーシブシリコンという素材で、それまでのシリコンバッグよりも少し硬いけれども破損が少なく、破損してもシリコンが漏れないとされるものでした。イメージとしては求肥みたいな感触で、アメリカから輸入されていました。
あたしの胸はデコルテがやや薄くて、アンダーバストにボリュームがある、いわゆる下乳に高さがある釣鐘型の形で、(今はいいかげん滅んでますけど)当時はかなりボリュームがありました。先生が元の乳房に一番近いであろうものを選んでくれて、箱に入ったそのブツを見た時を、今でもよーく覚えております。
新聞記事で読んで知ってはいたこと
テクスチャードタイプと言って、表面がつるつるではなくて、少しざらざらしているバッグでした。多分それによって位置がずれにくいとかのメリットがあったのでしょう。
しかし2017年に、そのテクスチャードタイプのコヒーシブシリコンのバッグを入れた患者に、リンパ腫が発見されたという報道がありました。あたしはそれを新聞記事で読んだのね。「あら?これってあたしの体に入ってるやつの話じゃん?」と思って、定期健診の時に質問したことも覚えております。
その時には、今回のガンを発見してくださったS先生が、ごくごく少ない数のことでもあるので、特に問題がない場合は積極的に入れ替えをするほどのことではありません、とおっしゃいました。なので、その時は「せいぜい真面目に定期健診を受けよう」というぐらいの決心をしました。
その時点で10年経ってました。その後さらに10年経ち、相変わらずあたしには大きな問題は起きてませんが、国内でそのリンパ腫になった人はこれまで7人。世界では230人ぐらいいる、と面談で説明されました。
表面のざらざらが何らかの刺激になるのではないか?と新聞には書かれてましたが、相変わらずはっきりした原因はわからず、発症数は(これを入れた患者の数に比して)わずかなものにとどまっているけれども、とにかく同じものを使って再建術を受けた人に限って現れる問題なわけですね。
だから。このバッグはもう売ってない。使えないのです。
とすると。たとえ今回右胸を同じように全摘して再建手術を受けても、こちら側はなんかめっちゃ違うものを入れることになるのか?
あたしは非常に不安になりました。もちろん問題があるとわかっているのですから、同じものを入れたいわけではありません。だけど、そもそも保険適用の再建術で使えるシリコンバッグって、種類が少ないのですよ。歯医者さんでなんかいい素材を選ぼうとすると、自由診療になって高価になっちゃうじゃないですか。あれと同じ?
こっちも入れ替えよう
形成外科との面談の日に、あたしは左側の胸ももう一度切って、バッグを入れ替えるのはどうか、と提案されました。
そうだよね。ついでに手術してもらえれば、そっちの心配もなくなるし。
「それって可能ですか?」と質問すると、形成のA先生は予定表を見て「大丈夫」ですとおっしゃいました。
「こちらは保険外で再建しているんですが、やはり適用外になりますか?」
「いいえ。乳ガンだったわけですから、こちらも保険でできます」
そうか。それならそうしてもらおう。両方切るなんて、大工事になるけど・・・・・。
つづく。
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おひねりをもらって暮らす夢は遠く、自己投資という名のハイリスクローリターンの”投資”に突入。なんなんだこの浮遊感。読んでいただくことが元気の素です。よろしくお願いいたします。