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その8_やっぱり再建にこだわるあたし【2】美容と医療のビミョーな関係


ふくらみはなんのためにあるのか(温存手術VS乳房再建)

 結論を先に書いておきますと、あたしは自分の体のイメージとして、「胸のふくらみとか、もう無くってもいいや」という風にはどうしてもなれず、今回の「治療」を、相当美容寄り、再建都合寄りの価値観で考えることにしました。つまり、将来にわたる可能性として、胸のふくらみがめっちゃ失われるようなことは極力避けるってことです。

 前回の手術は48歳の時です。その時左胸が全摘手術になったのは、ガンそのものの悪性度が高かったことに加えて、一度目の手術で3つのしこりの周辺、胸のボリュームの3分の1を切り取ったにも関わらず、断端陽性(患部が全部取り切れていなかった)だったためです。これ以上切って放射線をかけるのは美容的に厳しいと判断したからでした。
 結果、全摘出して病理検査をしたら、細かいガン細胞がすでに乳房全体にあったのです。

 だからと言って必ず再発したかどうかはわかりませんが、あの時は結果的に全摘出は正解だった、部分切除では救えない胸だった・・・・というのが執刀医Y先生のお言葉でした。結果的、というのは全体に広がっていたことは切ってみてはじめてわかったことだからです。

 これが乳ガン治療の難しいところ。しこりを切り取るだけではなくて放射線をかけたり、抗がん剤を術後にも使ったり、ホルモン阻害の薬を5年も(時には10年も)飲んだりするのはそのためです。あたしも、全摘をしてもなお、(放射線はかけずに済んだけど)抗がん剤4クール、ノルバデックス服用6年の治療をくぐりました。

 部分切除(乳房温存)で乳ガンが治療できるようになったことは、患者にとって朗報だったはずと思います。ガンになっても自分の乳房を残せるってことがです。残すというのは、ふくらみを失わない、ってことだと思ってます。それは結局美容的な価値観、女性らしいボディイメージに帰着するとは思いませんか?リスクを避けるだけなら、全部切り取るほうがベターなのですから。

 今では部分切除が当たり前ですけど、それ以前には胸筋もわきの下のリンパ節も、根こそぎ切り取っていた時代があります。たとえ生き残るためであっても、ハルステッド法と呼ばれる古い手術の写真を見ると、あたしは本当に苦しくなります。シャレじゃないけど、胸がつぶれる思いです。見たことがない人は検索してみてみてください。

 治療によって体が変わることはほかの病気にもいくらでもあることでしょうが、あの変わり方は悲しいです。今は大胸筋まで切り取ることはしませんが、それでも乳腺を全部切りとる必要がある患者は少なくないです。
 乳房の再建術には、患者が元の体を取り戻すことは治療の一環だ、という思想が含まれています。あたしはこれもものすごい朗報だと思うんだよね。

患部が小さくても全摘を選ぶ時

 再建が保険適用になったことも朗報です。10年前まで美容整形と同じ扱いだったことがそもそも変なことだったと思ってます。

 このように自分の価値観がはっきりしている中で、今度の術式をどのようにするか、いくつか検査を受けて、医療チーム内の何人もの人に、それぞれ面談してもらう間に、あたしはぐるぐるぐるぐる考えておりました。通院は何日もありましたから、結構考える時間があったのです。

 もう一回レントゲン撮って、マンモグラフィ撮って、もう一回超音波診断受けてもう一人の先生にもダブルチェック受けて、MRI検査受けて、麻酔医に会って、歯科医に会って、看護師に会って、形成外科医に会って、やっとラスボスである執刀医と面談して・・・・・。

 どうするかなー?どうするかなー?と考えまくって、結果、わずが1センチいくらかの患部(しこりにもなってない、よくぞ見つけましたね的な超初期のガン)にもかかわらず、あたしは右胸も全摘してもらうことにしたのです。
 迷ったけれども、そこに行きついた理由をなおもしつこく書きます。

つづく





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SYNDI おひねりをもらって暮らす夢は遠く、自己投資という名のハイリスクローリターンの”投資”に突入。なんなんだこの浮遊感。読んでいただくことが元気の素です。よろしくお願いいたします。