「DXを進めたいのに現場が動かない!?」会社が最初に見直すべきこと✨
「DXを進めよう」と経営会議で決まった。
新しいツールも導入した。
DX推進の担当者も決めた。
研修も実施した。
それなのに、なぜか現場では使われない。
「もっと現場に危機感を持ってほしい」
「せっかく導入したのだから使ってほしい」
「経営層はDXを求めているのに、現場が動いてくれない」
DXを担当していると、このような悩みに直面することがあります。
しかし、現場が動かない原因は、本当に「現場の意識が低いから」なのでしょうか。
私の考えでは、DXが進まないときほど、現場を変えようとする前に、会社側の進め方を見直すことが重要です。
この記事では、DXを進めたい企業が最初に見直したい5つのポイントを紹介します。
この記事はこんな方におすすめです
DX推進を担当しているものの、現場に浸透しない
経営層と現場の間に温度差を感じている
DXツールを導入したのに利用率が上がらない
現場から「今の仕事で困っていない」と言われる
DXを掛け声だけで終わらせたくない
経営企画や管理職として、DXをどう進めるべきか悩んでいる
特に重要なのは、「DXを進めること」ではなく、「DXによって何を変えたいのか」を明確にすることです。
では、具体的に見ていきましょう。
1.「DXをすること」が目的になっていないか
最初に見直したいのが、DXの目的です。
「生成AIを導入する」
「ペーパーレス化する」
「新しいシステムを入れる」
「データを活用する」
これらはDXの手段であって、目的そのものではありません。
たとえば、「営業部門に生成AIを導入する」という施策があったとします。
現場からすると、
「なぜ使う必要があるのですか?」
という疑問が出てくるかもしれません。
一方、
「営業担当者が資料作成に使っている時間を月10時間減らし、その分を顧客との商談準備に使う」
という目的まで説明されれば、意味が変わります。
現場に必要なのは、「会社がDXをやりたい」という説明ではありません。
「自分たちの仕事がどう良くなるのか」という説明です。
DX施策を始める前に、
何を変えたいのか
なぜ変える必要があるのか
誰にどんなメリットがあるのか
成功した状態はどのようなものか
を整理してみましょう。
2.現場に「仕事を増やすDX」になっていないか
DXが進まない会社で、意外と見落とされやすいのがこれです。
新しいツールを導入するとき、会社としては「業務を効率化したい」と考えます。
ところが現場から見ると、
「今までのExcelも残る」
「新しいシステムにも入力する」
「さらに報告書も作る」
という状態になっているケースがあります。
これでは、現場からすればDXではなく、単純に仕事が増えただけです。
たとえば、「営業活動をデジタル化する」という目的で新しいシステムを導入したとしても、既存の報告方法がなくならなければ、入力作業は増えてしまいます。
その結果、
「また新しいシステムが増えた」
という印象になってしまいます。
DXでは、新しい仕組みを追加することだけでなく、古い仕事をやめることもセットで考える必要があります。
新しい業務を追加する前に、
「このDXによって、何をやめられるのか?」
を考えてみてください。
これは、現場の協力を得るうえで重要な視点です。
3.「現場の意見を聞く」が形だけになっていないか
DX推進では、「現場の声を聞くことが大切」とよく言われます。
もちろん重要です。
ただし、単にアンケートを実施するだけでは十分ではありません。
「困っていることはありますか?」
と聞かれても、現場は必ずしも本音を話してくれるとは限りません。
そこで、もっと具体的に聞いてみます。
たとえば、
「毎週、この作業に何時間くらい使っていますか?」
「この作業で一番面倒なのはどこですか?」
「二度手間になっている作業はありますか?」
「本当はなくしたい業務はありますか?」
「システムではなく、ルールが原因で困っていることはありますか?」
こうした質問をすると、課題が具体的になってきます。
さらに重要なのは、聞いた意見を実際の改善につなげることです。
現場が意見を出しても何も変わらなければ、次第に「言っても無駄」という空気が生まれます。
DX推進担当者に必要なのは、現場から情報を集めることだけではありません。
現場の困りごとを、経営課題や業務改善につなげる「翻訳役」になることです。
4.経営層が「DXは重要」と言うだけになっていないか
DXは現場だけでは進みません。
経営層の関与も重要です。
ただし、
「我が社はDXを推進します」
と発信するだけでは、現場の行動は変わりにくいでしょう。
経営層が本気でDXを進めるのであれば、予算をつけるだけでなく、業務の優先順位や評価の仕組みまで変える必要があります。
たとえば、現場に新しいDX施策への協力を求めながら、従来の業務量や目標をまったく変えないとします。
すると現場は、
「DXもやらなければいけない。でも今までの仕事も減らない」
という状態になります。
これでは、DXが「追加業務」になってしまいます。
経営層が確認したいのは、
「DXをやっていますか?」
だけではありません。
むしろ、
「DXによって、何をやめましたか?」
「どんな意思決定が速くなりましたか?」
「現場の負担は何が減りましたか?」
といった変化を見ることが大切です。
DXはIT部門だけのプロジェクトではなく、経営そのものに関係するテーマだからです。
5.最初から「全社DX」を目指していないか
最後に見直したいのが、DXの進める範囲です。
会社全体を一気に変えようとすると、関係者が増え、調整事項も増えていきます。
結果として、
「検討しているうちに半年経った」
ということも起こり得ます。
そこで、最初は小さく始める方法があります。
たとえば、
「営業部門の月次報告を効率化する」
「人事部門の問い合わせ対応を減らす」
「総務部門の申請業務を簡素化する」
など、対象を絞ります。
そして、
課題を見つける → 小さく改善する → 効果を測る → 成功事例を共有する
というサイクルを回します。
小さな成功事例ができると、「DXとは何なのか」が社内で具体的になります。
「DXをやりましょう」と説明するより、
「この部署では、月20時間かかっていた作業が5時間になりました」
と伝えるほうが、現場には伝わりやすいでしょう。
DXを全社イベントにするのではなく、目の前の困りごとを一つ解決する活動から始める。
これもDXを定着させるための有効な考え方です。
DXが進まないとき、「現場を変える」前に会社を見直す
ここまで5つのポイントを紹介しました。
改めて整理すると、次のようになります。
DXそのものが目的になっていないか
現場の仕事を増やしていないか
現場の意見を本当に改善につなげているか
経営層が言葉だけでなく仕組みを変えているか
最初から大きく変えようとしていないか
DXが進まないと、「現場が変わらない」と考えてしまいがちです。
しかし、現場が動かない理由を一つひとつ確認すると、実は「動きたくても動けない仕組み」になっている場合があります。
新しいツールを使う時間がない。
今までの業務が減っていない。
何のためにやるのかわからない。
失敗すると評価が下がりそう。
過去にも似たような取り組みがあったが、いつの間にかなくなった。
こうした状態では、現場だけに変化を求めるのは難しいでしょう。
