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人を見る力|大人が知っておきたいカウンセリング視点

人の思考プロセスを、本質的な「思考回路」として視覚的に構造化する。
Systems Visualismでは、個人の内省を助け、他者との対話・共有・創造を促進するための図解を体系化しています。
本棚のように、多様な図を揃え、あなたの考える力を広げるツールを紹介します。


[1] PROLOGUE|導入

テーマ概要

カウンセリングは、学校や会社にもカウンセリング室が設置されるほど、現代では身近な存在になっています。しかし実際にカウンセリングを受けた経験のある人は、まだそれほど多くないかもしれません。

心理的カウンセリングには、認知行動療法、精神療法、心理療法、認知行動カウンセリングなど多様な方法があります。それぞれが前提とする理論や、患者を見る観点は大きく異なります。

そのため、安易に方法論そのものを説明することはできません。しかし、カウンセラーが患者を見る際に意識している要素を理解することは、私たち自身の視点を広げてくれるはずです。

というのも、専門の心理カウンセラーでなくとも、私たちは日常的に「カウンセリング的な関わり」を行っているからです。友人の悩み相談、会社での上司と部下の面談、学校の先生による親子面談、さらには化粧品カウンターでのカウンセリングまで、人と向き合い、話を聴く場面は多岐にわたります。

そこで今回は、カウンセラーが相手を見るときに意識する俯瞰的な全体像について、簡単に図解してみたいと思います。

参考資料

カウンセリングとは何か 変化するということ、東畑開人、講談社現代新書

[2] CORE|本編

思考回路 - 図解ツール

こちらが図解ツール全体像です。
情報量が多いため、次章の解説を参考にしながら、じっくりと読み進めていただくことをおすすめします。

カウンセラー 視点 図解

図の解説 - 紙芝居形式

図解ツールをパーツごとに分解し、詳しく解釈しながら説明していきます。
テーマ説明:全10枚


人間は生まれたとき、ほとんど無垢である。身体と、まだ成熟していない心、特に弱い心を持って生まれてくる。

1/10

成長するにつれて、社会、とくに人間関係の中で起きる反応や言動の繰り返しによって、身体感覚が洗練され、弱い心も少しずつ成長していく。

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思春期を過ぎて大人になると、心の弱さである無意識の領域は固まり、それを守るために、いわゆる大人の心としての「心のバリア」や意識の領域が発達していく。同時に思考回路も形成される。大人になっても社会経験や学習によって新たな学びを得るが、それは無意識の最下層ではなく、表層のバリアや思考回路の部分が変化していくに過ぎない。

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このように私たちは、自分という存在を形づくり、社会と向き合うときには、身体や身体感覚に気を配りながら、周囲に対して反応している。反応には、思考や意識を通したものもあれば、思考を介さずに弱い心、無意識の部分が引き起こすものもある。

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その中で、人はときに「だるい」「眠れない」といった身体感覚の異常を覚える。また、頭がモヤモヤしたり悲しくなったり、思考回路がうまく働かないことを自覚することもある。こうした状態が深刻化すると鬱状態になることもあり、そのようなとき、人はカウンセリングなど外部の視点や助言を求めるようになる。

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カウンセラーは、いきなりアドバイスをしたり、心に直接働きかけようとしたりはしない。まず、患者の状況や背景にある事情を俯瞰的に理解することから始める。

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人間は、自分の身体が健康であり、周囲との関係が良好であってこそ、はじめて心に向き合う余裕が生まれる。だからこそ、身体的に対処すべき問題があるときや、周辺環境との関係を再構築する必要がある場合には、社会的支援につなぐことを含め、それらの調整が優先される。

7/10

状況が落ち着き、ようやく精神面に向き合えるようになっても、心の最下層である弱い心、無意識の領域には容易に介入できない。まず、生活を支えるために身体感覚を整え、身体を根本から良い状態に導くことが重要である。また、周囲をどう捉えるかという思考回路の歪みを整えるために、新しい視点を与えていくことも必要となる。

現代のように社会にも個人にも余裕がない時代では、このレベルを整えることが最も求められる。

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その上で、人生が安定していても、心の殻が破れずに残る違和感や、自分らしく生きるために変わりたいと思う心の弱さは、長い年月をかけてゆっくりと変化していく。

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以上のように、カウンセリングとは心を読んで心だけを変える作業ではない。相手の状況全体を俯瞰し、外側から整え、少しずつ変化を促していく助言を重ねることが、カウンセラーに求められる視点である。

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ここまでお読みいただきありがとうございました。

図解ツールを手元に置いて解釈を深めたり、
「カウンセリング」「悩み相談」について周りの仲間と議論する際の、「論点の地図」として活用してください。

図解ツールバリエーション

鏡対象

[3] INSIGHT|考察

図解をまとめての感想

図解をまとめてみると、会社で部下と向き合う対話が増えたり、家庭で子どもと会話する機会が多くなったりする中で、人の思考回路が本当に千差万別であることを改めて実感する。子どものころは「人の性格の違い」といったざっくりした観点で人を捉えることが多かったし、大人になってからも、心理学を少し学ぶまでは「あの人は優しい」「あの人は真面目」「あの人は無責任」など、やはり「性格の違い」として理解することが多かった。

しかし、人の性格とは、その人がどんな思考回路で考え、どんな意識や記憶が背景にあり、どんな心の弱さを抱えているのか。さらには、こちらからは見えないその人の生活状況や環境など、さまざまな要素が複雑に作用した結果として、私たちが表層で観察している"言動"が生まれているのだと理解できる。

たとえば「どんな人が好きですか?」という問いに「優しい人」と答えたとする。しかしこの“優しい”という言葉は、一見相手の性格を示しているように思えて、実は自分が受け取った印象や感覚を語っているにすぎない。私たちが見ているのは相手の言動という表面であり、その裏にあるその人自身までは見えていないことが多い。

とはいえ、それは当然のことだ。私たちは自分自身のことすら十分に理解するのが難しい。それなのに、他人を深く理解することなど、さらに難しい課題である。

近年では、SNSやネットによる「エコーチェンバー現象」が指摘され、思考回路のフレームを狭め、自分の考えだけを強化してしまうような状況も懸念されている。

だからこそ、世の中を見るための思考フレームを複数持つこと。そしてそのために、経験を積み、本を読み、知識を重ね続けることが大切なのだと思う。ありきたりな結論かもしれないが、それを忘れてしまうと、人としての幅は簡単に失われてしまうのだろう。

[4] NAVIGATION|関連情報

過去の図解


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