幸福論|「福は内」は本当に正しいのか?
[1] PROLOGUE|導入
テーマ概要
世界には「三大幸福論」と呼ばれる考え方があります。
フランスの哲学者アランは、くじけない楽観主義を説きました。
スイスの哲学者ヒルティは、信仰や信念を持って生きることの大切さを語っています。
そして今回取り上げるのが、イギリスの哲学者である バートランド・ラッセル の幸福論です。
ラッセルは、「外に目を向けること」の大切さを伝えています。ラッセルは数学者であり、哲学者でもありました。晩年には平和活動にも力を注ぎ、核兵器廃絶を訴える ラッセル=アインシュタイン宣言 を発表しています。
とても論理的な人物だった彼が、人生を通してたどり着いた「幸福のかたち」。今回はその考えを、構造としてわかりやすく見ていきます。
参考資料
100分で名著 バートランド・ラッセル 幸福論、小川仁志、NHK出版
[2] CORE|本編
図の解説 - 紙芝居形式
図解ツールをパーツごとに分解し、詳しく解釈しながら説明していきましょう。
テーマ説明:全7枚

人の不幸は、心の向きによって大きく左右されます。とくに、自分へと意識が向きすぎると、不幸を招きやすくなります。
不幸の根源は、自分に意識が集中しすぎることから始まります。
たとえば、
幼い頃の親からの教育から生まれる罪の意識。
自分を過剰に肯定してしまう自己愛。
人から恐れられたいという権力への欲求。
こうした内向きの感情が、不幸を生み出していきます。
まず一つ目は、内面への抑圧です。
内向きの感情が強くなりすぎると、自分を傷つける思いがふくらみます。
過剰な道徳心にとらわれて自分を責めてしまう。
世の中を悲観して、生きる意味を見失ってしまう。
自分は不当に扱われていると感じる被害的な見方。
こうした心の動きが、内側から自分を苦しめます。
二つ目は、比較する心です。
自分への意識が強いほど、他人との違いが気になり始めます。
競争意識が強まり、成功への執着が生まれる。
人と比べてしまい、妬みや卑屈さが出てくる。
そして、他人の評価を気にして、不安や恐れを感じ続けます。
その結果、心と体の安定が崩れていきます。
精神的な疲れが積み重なり、退屈に耐えられなくなる。そして刺激を求め続け、落ち着けない状態に入ってしまいます。

ここで大切なのは、外の世界は自分ではコントロールできない、ということです。それでも人は、つい他人と比べようとしてしまいます。
コントロールできないものにとらわれることで、苦しさが続いてしまうのです。

だからこそ、外の世界に目を向けてみましょう。自分が興味を持てることに、気づくことから始まります。そしてそれを、人生の中で大切にしたい目標として育てていきます。
自然と熱中できて、努力できるものです。

外の世界は、自分の思い通りにはなりません。だからこそ、うまくいかないことを受け入れて、ほどよく手放すことも大切です。
あきらめることは、前に進むための選択でもあります。

外への興味が広がると、私心のない趣味が見つかっていきます。損得ではなく、ただ楽しいと思えるものです。そうした時間が、自然な熱中を生み出します。
努力する日々と、ときに手放すこと。
そのバランスも、無理なく整っていきます。

何かに熱中できるとき、私たちは自分のことを忘れています。その時間が、過剰な内向きの感情をやわらげてくれます。
不幸ではなく、満たされた感覚が生まれてくるのです。
思考回路 - 図解全体像

人生はシンプルではありません。あっという間に時間は過ぎていきます。だからこそ、外の世界に意識を向け、それを糧にしていきたいものです。
ただし、外の世界はコントロールできません。
だからこそ、手放すことも受け入れること。
内に向かいすぎず、外に開きすぎず。
そのあいだで揺れながら生きていくこと。
そのバランスと向き合い続けることが、
穏やかな幸福へとつながっていきます。
[3] INSIGHT|考察
図解をまとめての感想
ラッセルの主張は、これまで学んできた心理学や哲学とも通じるものがありました。その中でもひとつ、「趣味を持つこと」は、シンプルですが改めて見つめ直したいポイントだと感じました。
ここでいう趣味は、私心のないもの、純粋に楽しめるものです。
たとえば、ギャンブルや投資のように、他者との競争や損得に強く結びつくものではなく、
心が穏やかに満たされるような時間です。
私自身を振り返ってみても、いろいろな趣味を経験してきました。
音楽では、ロックやギター、作曲、バンド。
手を動かすものでは、ガンプラ、切り絵、シルバーアクセサリー作りや日曜大工、子どものおもちゃ作り、家族アルバム作り。
体を動かすものでは、ジョギング、MTBやロードバイク。
そして内面に向き合うものとして、仏教や仏像鑑賞、読書。
さらに今は、図解やこのnoteも、その一つになっています。
始めたものもあれば、いつの間にか離れたものもあります。
それでも、どの時間もかけがえのないものを与えてくれていたと、あらためて感じます。
エーリッヒ・フロム も、人は何かを生み出すことに喜びを見出すと語っています。
今回の バートランド・ラッセル もまた、新しいものを生み出す営みの中にある幸福に触れています。
何かを生み出す趣味。
これからも、そんな時間を大切にしながら、新しいものにも出会っていきたいですね。
みなさんは、どんな趣味をお持ちですか?
[4] NAVIGATION|関連情報
過去の図解
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