失敗しない組織が必ず守っている原則
人の思考プロセスを、本質的な「思考回路」として視覚的に構造化する。
Systems Visualismでは、個人の内省を助け、他者との対話・共有・創造を促進するための図解を体系化しています。
本棚のように、多様な図を揃え、あなたの考える力を広げるツールを紹介します。
[1] PROLOGUE|導入
テーマ概要
世の中では、多くの大きなプロジェクトが決定され、進められています。これには、世界規模や公共規模のものもあれば、個人レベルで家を建てるような大きなプロジェクトも含まれます。
しかし、これらのプロジェクトの多くは、果たして成功しているのでしょうか。残念ながら、多くは当初の計画よりも多大なコストが発生し、遅延が生じ、最終的に完成品には欠陥が残り、当初達成したかった根本的な目標が実現されているかどうか疑問が生じます。
では、成功するプロジェクトと失敗するプロジェクトの違いは何なのでしょうか。今回は、プロジェクト推進の構造を図解を通じて解説し、その違いを明らかにします。
参考
BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらは何をしたのか?、ベント・フリウビヤ/ダン・ガードナー、サンマーク出版
[2] CORE|本編
思考回路 - 図解ツール
こちらが図解ツール全体像です。
情報量が多いため、次章の解説を参考にしながら、じっくりと読み進めていただくことをおすすめします。

図の解説 - 紙芝居形式
図解ツールをパーツごとに分解し、詳しく解釈しながら説明していきます。
テーマ説明:全21枚
たくさんのプロジェクトにも必ず最初のアイディアがあります。そのアイディアを元にどう進めていくかで、結果が大きく変わります。では、成功するプロジェクトと失敗するプロジェクトの違いは何なのでしょうか。

アイディアが計画されると、それを実行に移します。そして、発生する問題に必ず対応しなければなりません。

問題は一度で解決することは少なく、現場では次から次へと新たな問題が発生し、対応を続けていくうちにコストが膨らみ、時間も延長され、当初の予定を大幅に超過してしまいます。

さらに、こうした問題が原因で、計画で描いていたプロダクトに欠陥が生じることもあります。

ようやくプロジェクトが完了しても、コストは増大し、遅延も深刻化し、完成品には欠陥が残り、利益はようやく完了後に得られるかどうかという状況です。本当に成し遂げたかった目的が達成されているのでしょうか。多くの場合、そうではないでしょう。

では、成功するプロジェクト推進はどのように進むのでしょうか。それは初期のアイディアをそのままにせず、必ず実験を行い、そこから問題をあぶり出し、経験を通して学習し、アイディアを洗練させていくことです。実験はテストやシミュレーション、模型でもよく、何度も試すことが重要です。IT産業では最小限のプロダクト(Minimum Viable Product : MVP)を構築し市場に出しますが、これは市場の不確実性に対応し、コストやリスクを抑えるため、広義には「市場での実験」をしているといえます。

経験は外部から取り入れることも可能です。経験者をチームに引き入れることで、暗黙知を取り込むことができます。また、既存の技術を活用することも、培われた確固たる経験を生かすことにつながります。さらに、類似の参照事例は必ず存在するので、それらから知見を取り出し、リスクに備えることができます。

参照事例からは、正確な予測も立てることができます。無計画に積み上げた不正確な予測値を無理矢理に算出するより、より的確な目標設定が可能になります。

また、手段にとらわれることなく、本質的に何を達成したいのか、達成した際にどのような景色が広がっていることを求めているのかを問い続けることで、目指す目標に向かい続けることができます。

このようなプロセスを計画段階で繰り返すことにより、アイディアをアイディアの段階で完成させることが可能になるのです。

そして、ようやく完成されたアイディアを実行に移す段階になりますが、それは一つの巨大なものではなく、個々に洗練されたパーツであるべきです。パーツごとに完成されていれば、小さな段階でも利益を生み出すことができます。

そして、その小さなパーツを積み重ねることで、実行する側も洗練され、より効率的に積み上げていくことができるようになります。それはまるでレゴのパーツを積み重ねるように、徐々に大きなものへと成長していくのです。

完成したときには、初期のアイディアとは異なるものが形になっていますが、洗練されたパーツで構成された大きなプロダクトがそこに存在し、目標を達成していることでしょう。

このように、初期のアイディアに固執せず、実験や経験、過去の歴史から学び、目的・目標を見失わずに問い続けることで、成功が成し遂げられるのです。

では、なぜ初期のアイディアや過去の知見、目指すべき方向がありながら、失敗してしまうのでしょうか。それは人間の心理が影響しているからです。そう、私たち自身がそれを引き起こしているのです。

人は初期のアイディアを得ると、「なんとかなるだろう」と考え、まず実行に移すことで物事が進み始めたという安心感を得ようとします。そして自分の直感に固執し、初期のアイディアを手放そうとせず、すぐに実行しようとします。そのため本質的に達成するべき目標が不明確のまま進んでしまいます。

また、過去に実績があっても、自分のアイディアが世界初であり、唯一無二で、世界最大であるかのように思い込み、他から学ぼうとしません。

間違った基準に基づいた予測を行い、また政治的な意図で誰かがコストや時間を過小評価してしまうこともあります。

プロジェクトを進める中で、膨れ上がったコストや大幅な遅延、さらにプロダクトに致命的な欠陥が発生していることに気づいても、人はプロジェクトを中止できません。たとえプロジェクト完了までに追加で100億円が必要で、予測される利益がわずか50億円であっても、です。

このように、人の心には常にバイアスが作用しています。結果として、せっかく成功の種であった初期のアイディアが、最初の一歩から失敗へと向かってしまうのです。

最後に全体を振り返りましょう。初期のアイディアはどのようなものであっても構いません。それは将来の種のようなものです。そのアイディアを進化させるために、私たち自身のバイアスにどう抗うかが、成功と失敗を分けるのです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。
図解ツールを手元に置いて解釈を深めたり、
「暴走する企画」「繰り返す品質不良」について周りの仲間と議論する際の、「論点の地図」として活用してください。今回の内容、いかがでしたか?
[3] INSIGHT|考察
図解をまとめての感想
今回のテーマは、普段エンジニアとして仕事をしている身として、とても素直に理解できるものでした。会社の中でも、日程に追われて見切り発射に実行し結局後で不具合対応に疲弊したり、そもそも検討が甘かったり、過去の知見を活かす組織作りができていなかったり、マネジメントサイドの恣意的な意図で無理にプロジェクトが進められたりと、思い出すことは多いです。
また、参考にした本で語られている内容を改めて整理すると、結局は至極一般的なことに集約されました。世の中の大きなプロジェクトや、私たちが直接関わる普段の仕事でも、同じようなことが起きていることは振り返るとよく思い出されます。やはり問題は、「ではどう対処するか」に尽きるのでしょう。利害関係、そのときの状況、周りの仲間など、多くの要因が影響します。
参考にした本にその問いに対して腑に落ちる解は示されていません。それは百のプロジェクトがあれば、百のパターンがあるからでしょう。つまり常に自分で考えよ、ということだと捉えています。
それでも、このせっかく描いた全体構造を常に頭にイメージとして持ち続け、自分を振り返る道具にしたいと、改めて感じています。
[4] NAVIGATION|関連情報
過去の図解
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