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愛する技術|与える豊かさ【動く図解】


[1] PROLOGUE|導入

テーマ概要

愛とは、人類にとって永遠の命題でしょう。
物語や歌、哲学、TV番組など、あらゆる場所で、そのたびに形を変えながら語られてきました。現代では、恋愛のハウツー本といったものまであります。

しかしその「愛」について、深く考える機会は意外と多くありません。日々が忙しく過ぎていくとなおさらです。
思春期に悩んだ愛の命題も、仕事や子育ての忙しさの中で、いつの間にか忘れてしまうことがあります。

そしてSNSの世界が一気に社会を狭くしたように、私たちは今、世界中の人々と瞬時につながり、怒りが生まれやすい環境の中で生きています。
そのような社会の中を、これからも私たちは生きていかなければなりません。

だからこそ今回、「愛する」ということを、あらためて一緒に考えてみたいと思います。

参考資料

愛するということ(原題 The art of loving)、エーリッヒ・フロム、紀伊國屋書店

[2] CORE|本編

図の解説 - 紙芝居形式

図解ツールをパーツごとに分解し、詳しく解釈しながら説明していきましょう。
テーマ説明:全10枚

1/10

愛とはなんでしょうか。

自分を愛する。
家族を愛する。
仲間を愛する。
人類を愛する。

言葉にすれば簡単ですが、何をもって愛と呼べるのでしょうか。
とても普遍的な問いです。

愛のつもりでしている行為が、傍から見ると、誰かを贔屓しているだけだったり、誰かに依存していたり、いつの間にか相手を抑えつけてしまっていることもあります。


2/10

人は、自分や家族、周りの人を正しく見ていることが、実はあまり多くありません。私たちはいつも、自分の思い込みや勘違いというフィルターを通して世界を見てしまいます。

利己的であっても、自己犠牲的であっても、その幻影に見合うものを求める心が生まれてきます。そしてそのバランスを取ろうとして、周囲に対して贔屓したり、依存したり、抑圧したりしてしまう。その結果、行動が愛から少しずつ離れていくことがあります。


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こうした流れの奥には、誰もが持つナルシシズムがあります。つまり、自分を特別な存在だと感じたい心です。周りの見え方が、自分中心で近視眼的になってしまうのです。

そのとき生まれる偽りの均衡が「これで公平だ」という感覚を作り出し、心を一時的に静めます。その静けさが心地よさを生み、また次のナルシシズムを生み出していきます。

これは人間の弱さであり、幼さなのかもしれません。人は誰でも、この心の均衡を求める流れに、気づかないうちに飲み込まれてしまいます。


4/10

この求める心は、神や仏に対しても同じです。本来は尊い存在であるはずなのに、いつの間にか「何かを与えてくれる存在」として期待してしまう。

母のようなやさしさがほしい、父のような安心感がほしいと、外側から満たされることを求め続けてしまうのです。


5/10

では、大人になるとは、成熟するとはどういうことでしょうか。

日常をただ過ごしていると、時間はあっという間に流れていきます。しかし暮らしの中では、いつも自分と、そして他者と向き合うことになります。

日々の中で自分や周囲を意識し、少しずつ修練を重ねていく。その積み重ねが成長につながります。

自分を律する心、相手と自分に集中する心、そしてその集中を支える忍耐力。そうしたものを日常の中で磨き続けることが、人生経験や観察力、思考力、判断力へと育っていきます。


6/10

その積み重ねが、自分を信頼する力になります。自分を信頼できると、周りのことをもっと知りたいという気持ちが生まれてきます。そしてこれまで培ってきた土台が、周囲を理解する力へとつながっていきます。


7/10

周囲を理解する力が育つと、人を見る視点も変わってきます。表面的な言動だけでなく、その奥にある感情や背景にも目が向くようになります。そうした理解が、自然と周りへの配慮ある行動につながっていきます。


8/10

そして何より大切なのは、自分を信頼できることです。自分を信頼できるからこそ、他者を信頼することができます。

心が満たされると、他者に分け与えられる余白が生まれます。豊かな人とは、多くを持つ人ではなく、誰かに分け与えられる人です。その分け与える心が、相手の思いに応えることや、相手を尊重し肯定することにつながり、それが愛という行為になっていきます。


9/10

愛する意識がさらに深まると、神や仏の意味も変わってきます。それはただ何かを与えてくれる対象ではなくなります。

神や仏、自分、周囲の人々、すべてが世界の一員であると感じられるようになります。そして神や仏が象徴する真理や愛、正義と自分を重ね合わせながら、それらを目指して生きようとする自分の姿が形づくられていきます。


思考回路 - 図解全体像

愛する技術 図解 10/10

人はすぐに求める心へと流されてしまいます。それでも、その心の存在に気づきながら、他者に与える心を探し続ける。その探究こそが、人生を豊かにしていくのだと思います。

[3] INSIGHT|考察

図解をまとめての感想

愛することとは、どういうことなのでしょうか。

参考にした本から学び、その構造を理解したとしても、自分の経験と結びつかなければ、実感として思い描くことはなかなか難しいものです。

思春期になり、誰かを好きになり、誰かと付き合い、別れ、大人になり、やがて誰かと結婚する。子を持ち、そして老いていく。
そして人生の終わりに、自分は愛することができただろうか、と振り返るのかもしれません。

しかし「愛する」とは何なのでしょうか。

それは「自己犠牲」や「相手を大切にする」という言葉だけでは語りきれないものです。だからこそ、人生をかけて考え続けたい命題なのだと思います。

子どもを持った今、子どもとのコミュニケーションを通して、親である私の方が、逆に成長させてもらっていると感じます。

一方で現代は、SNSで知らない人に激しい感情を乗せた言葉を投げ合ってしまう時代でもあります。子どもたちは幼いころからスマホに触れ、YouTubeやゲームに没頭する。他者との関係よりも、自分の世界へと視線が近くなっていく、そんな時代でもあります。

何十年ものあいだ、有名なミュージシャンたちが美しいメロディーで愛を歌い続けてきました。それでも今日の世界は、どこか分断へと向かっているようにも見えます。

テレビで無駄な非難や不毛な討論を繰り返すよりも、
世界で「愛」というものを、もっとまじめに語り合ってもいいのではないでしょうか。

[4] NAVIGATION|関連情報

過去の図解


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