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いじめ|人間関係が作り出す支配感

人の思考プロセスを、本質的な「思考回路」として視覚的に構造化する。
Systems Visualismでは、個人の内省を助け、他者との対話・共有・創造を促進するための図解を体系化しています。
本棚のように、多様な図を揃え、あなたの考える力を広げるツールを紹介します。


[1] PROLOGUE|導入

テーマ概要

現代社会では、いじめが原因となるセンセーショナルな事件が発生するたび、メディアで繰り返し議論が行われます。しかし、多くの場合、人々はわかりやすい原因論に依存する傾向があり、議論は表面的で散発的なミクロな視点にとどまっています。その結果、互いに矛盾する主張が飛び交い、根本的な問題解決には至っていません。

ミクロの視点の一例が、その原因を受験戦争や管理教育に求め、「ゆとり教育」を取り入れたこととも言われています。しかし結果はご存じの通り、学校社会ではいじめが減少することはなく、20年後に見直されることとなりました。

一方で、参考にした書籍では、いじめの背景には普遍的な心理や社会のメカニズムが存在すると指摘されています。これらのメカニズムは、個別の事例を超えたマクロな視点で理解することが可能だというのです。

では、このメカニズムとは具体的にどのような構造を持つのでしょうか?今回は、この社会現象の構造に迫り、複雑すぎる故に全てを正しく理解できないまでも、できるだけその本質を解き明かしていきたいと思います。

参考資料

いじめの構造 なぜ人が怪物になるのか、内藤朝雄著、講談社現代新書
いじめの構造、森口朗著、新潮新書
いじめの問題に対する施策、文部科学省HP

[2] CORE|本編

思考回路 - 図解ツール

こちらが図解ツール全体像です。
情報量が多いため、次章の解説を参考にしながら、じっくりと読み進めていただくことをおすすめします。

現代のいじめの構造 図解

図の解説 - 紙芝居形式

図解ツールをパーツごとに分解し、詳しく解釈しながら説明していきます。
テーマ説明:全17枚


人は誰しもストレスを感じながら生きています。これは、大人でも子供でも変わりません。現代では、子供も親からの抑圧や受験のプレッシャー、子供社会でのコミュニケーション、さらにネット社会のストレス、貧困など、さまざまな要因からストレスを受けています。

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そのため、誰もが心の癒やしを必要とします。自己肯定感が高い人は自分でそのストレスに対処できることもありますが、そうでない人は、大人ならお酒や趣味、子供ならゲームなど、さまざまな方法で癒やしを求めています。

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しかし、小さな集団の中では、この「満たされない心」を他者への力の行使によって発散し始めることがあります。その力は、言葉によるものだったり、悪ふざけだったりと、さまざまな形をとります。

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こうして行使された力が集団内に「ノリ」と呼ばれる雰囲気や空気感を生み出し、そこにいる人たちは、その「ノリ」に同調するかどうかを迫られる状況になります。

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この「ノリ」をうまく作り出し、強く同調できた人には集団内での権力が与えられ、逆に孤立してしまった人は低い身分として扱われます。また、集団内には「ノリ」に疑問を感じながらも否定せず、弱く同調している人も存在します。

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権力を与えられた人は、自分の満たされない心に突き動かされながら、その権力をどう行使するかの実行計画を描き始めます。

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その計画に基づいて、弱い立場の人を精神的にも肉体的にもコントロールしようとするのです。

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弱い立場の人が計画通りに反応することで、権力を行使する側には「人をコントロールできる」という感覚が生まれ、心が癒やされることになります。それはまるで神になったかのような感覚です。しかしそれはほんの一時的なものでしかありません。

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一方で、もし弱い立場の人が力の行使に反抗すれば、それは集団の秩序に反する行為とみなされます。そしてその反抗は、権力を行使する側の怒りを増幅させ、自らの権力行使をさらに正当化する理由にされてしまいます。

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こうした過程が繰り返されるうちに、最初は小さな悪口や無視といった行為であったものが、次第に常識を越えた行為へとエスカレートし、集団内に恐ろしい秩序が育ってしまうのです。

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この集団内の身分は固定されるわけではありません。その時々の「ノリ」にどう対応できるかによって、立場が変動することもあります。そのため、集団内の人々は常に「ノリ」に注意を払わざるを得ません。

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では、なぜ倫理が存在するはずの社会で、このような倫理を逸脱する行為が発生するのでしょうか。それは、学校や地域社会といった小さな集団が、一般社会から断絶され、人間関係が密接で流動性の少ない閉鎖的な環境であることが一因です。

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そのため、弱い立場に置かれた人は、外の社会に簡単に逃げることができません。それどころか、強制的にその閉ざされた集団で生活を続けざるを得ない状況に追い込まれます。

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一方で、権力を行使する側は、外部からの司法や倫理の目を常に意識しながら、自らの計画を修正して実行しています。彼らにとって、外部の秩序は自分たちの支配を脅かす「害」でしかないのです。

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また、権力を行使する人の中には、過去に自らが抑圧に耐えた経験を持つ人もいます。その自分の経験から、弱いものに権力を行使すること、つまり他者が自分により抑圧されることは正しいという自負を抱くようになるのです。

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その自負にとって、社会倫理はただのきれい事でしかなく、自らの権力行使を正当化する材料となります。

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以上が、いじめという現象を俯瞰した構造です。このような心理的な連鎖や状況が、「いじめ」という行動を生み出します。いじめは、加害者と被害者という単純な関係にとどまらず、環境や構造によって深く形成されているのです。さらに、加害者と被害者の関係は、決して子供同士だけの話ではなく、先生と生徒、大人同士など、さまざまな社会的関係においても見られる現象です。だからこそ、この構造を理解することで、いじめの本質や解決の糸口を見つける手助けになるかもしれません。

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ここまでお読みいただきありがとうございました。

図解ツールを手元に置いて解釈を深めたり、
「いじめ」について周りの仲間と議論する際の、「論点の地図」として活用してください。


[3] INSIGHT|考察

図解をまとめての感想

自分が小学生や中学生だったとき、ニュースに取り上げられるほどセンセーショナルな結末にならなかったものの、多少なりともこの構造が学校には存在していたことを、また自分は傍観者として、一時期は被害者として関わったことを思い返します。

今回の書籍を読む前は、いじめというのを、なんとなくその「行為」だけで捉えていました。しかし図解を書くために何度も読み返す中で、背景にある心理構造や社会構造に対する理解を向上させることができたと感じます。そして書籍の中で語られている信じがたいほど悲しい物語に心が痛みました。

今回の図解は何よりも、これから大きくなっていく自分の子どもを思ってのことでした。複雑化しているこの社会、そして何よりも経済的停滞、貧富の拡大が増大し始めている日本では、自分が子供のときよりもいじめというものがより頻繁に発生しているだろうと想像できます。

必ず自分の子供も将来いじめに何かしらの形で関わるはずと確信しています。親としては被害者にならないことだけは願うばかりです。しかしならない可能性はゼロではないと考えています。

だからこそ冷静に状況を理解・対応できるために、いじめを生み出す心理的・社会的構造を改めて理解しやすい形に残しておきたいと思いました。

今回の図解ツールが皆さんにとって何かしらの助けになれば幸いです。

[4] NAVIGATION|関連情報

過去の図解

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