WISERモデル|内なる怒りを支配する思考法
人の思考プロセスを、本質的な「思考回路」として視覚的に構造化する。
Systems Visualismでは、個人の内省を助け、他者との対話・共有・創造を促進するための図解を体系化しています。
本棚のように、多様な図を揃え、あなたの考える力を広げるツールを紹介します。
[1] PROLOGUE|導入
テーマ概要
人間は社会的な動物であり、たとえお金を稼いだり出世を目指したりしても、最期に死を迎えたときには、なぜもっと家族や友人、大切な人間関係を重んじなかったのかと後悔することがあると言われています。こうした話は、過去にも何度も耳にしたことがあるでしょう。誰しもが幸せになりたいと願う一方で、実際には人間関係を最優先にする生き方ができていないのが現状です。
私たちは「いつか幸せになる」のではなく、
「常に幸せに生きる」ことを目指すべきかもしれません。
今回参考にした著書では、ハーバード大学の成人発達研究チームが80年以上にわたりさまざまな人々の人生を記録した事例をもとに、具体的な例が紹介されています。
メインメッセージは「人間関係が幸せな人生につながる」ということです。心理学的な構造を明確に導き出すのは難しいものの、その中の1つの章で示される、人間関係の課題を乗り越えるためのステップに注目していきます。
参考資料
グッド・ライフ 幸せになるのに、おそすぎることはない、ロバートウォールディンガー、マーク・シュルツ著、&books
第6章を参照
[2] CORE|本編
思考回路 - 図解ツール
こちらが図解ツール全体像です。
情報量が多いため、次章の解説を参考にしながら、じっくりと読み進めていただくことをおすすめします。

図の解説 - 紙芝居形式
図解ツールをパーツごとに分解し、詳しく解釈しながら説明していきます。
テーマ説明:全10枚
どんなに自分が気をつけていても、周囲にはさまざまな人がいる以上、否定やマウンティングをしてくる相手は存在する。そして、注意しないと、そういった言葉に反応し、条件反射的に場を悪くする対応をしてしまう。

アンガーマネジメントでは、怒りをコントロールすることが重要だと言われる。6秒待つとよいと言われるが、相手が次々と反論を重ねてくると、こちらの気持ちが折れてしまうこともある。そこで、その感情に好奇心を加えることが推奨される。好奇心を持つことで、冷静に状況を観察できる。そして、そのためには一定の距離や間を取ることを恐れないことが大切だ。

観察とは、表面的なものだけでなく、自分の手の震えや心拍の上昇、感情の変化、その背景にある状況まで含めて行うものだ。それは自分だけでなく、相手の表情や感情、その背景までを俯瞰することにもつながる。

さらに深く掘り下げ、なぜこの感情が生じているのかを考える。その奥には、自分が大切にしている価値観がある。それは、人生の重要な目標や不安の種、大切な人間関係など、多くの要素と結びついているはずだ。

視野を広げることで、この問題に対する対応目標を考えられるようになる。そして、その目標と現状のギャップを明確にし、取るべき手段を選定していく。

取りうる手段は複数ある。例えば、相手が大切なパートナーであれば、長期的な視点を持ち、家族や第三者と共に対応策を考えることもできる。一方で、相手が関係を続けたくない存在であれば、その場から離れる選択肢もある。転職などもその一例だ。

そして、自分が最も適切だと考える手段を選ぶ。ただし、どんなにベストな選択肢でも、練習なしにうまく実行するのは難しい。少なくとも、頭の中でシミュレーションをしておくことが重要だ。

実行に移す。そして、必要に応じて臨機応変に軌道修正する。行動すれば必ず何かしらの結果が生じる。その結果を真摯に受け止めることが大切だ。

それが成功しても、うまくいかなくても、必ず何かしらの学びがある。その学びを次の対応に生かすことで、人は成長していける。

もう一度全体像を見直してみよう。このプロセスは、PDCAサイクルにも似たシンプルなものだ。しかし、最初の一歩を「好奇心」によって踏み出せるかどうか、その練習こそが人生で求められているのだ。

ここまでお読みいただきありがとうございました。
図解ツールを手元に置いて解釈を深めたり、
「人間関係」「アンガーマネジメント」について周りの仲間と議論する際の、「論点の地図」として活用してください。
[3] INSIGHT|考察
図解をまとめての感想
これまでもnoteの記事として、図解「アドラー心理学」や、7つの習慣をもとにした図解「人生のMVV」、「傾聴」などの構造を整理し、説明してきました。そうした図解からの学びを生かし、私生活を振り返ってみても、子どもや後輩、同僚など、こちらに敬意を払って接してくれる相手には、少なからず傾聴・共感の態度をとれるようになってきたと感じます。
しかし、パートナーとの喧嘩のように感情がヒートアップしてしまう場面や、会社で論を曲げない上司が常にこちらの意見を否定・マウンティングしてくるような状況では、まだまだ未熟な自分には傾聴・共感を維持し続けるのが難しいことがあります。そうした場面では、自分の心拍が速くなり、怒りがこみ上げてくることも多々あります。(私はあがり症でもあり、こうした状況では脳内で心拍数を上げる脳内物質が出やすいのかもしれませんね。)
図解「人間の非論理性」で説明したように、人間はどうしても情動的な反応が先行してしまいます。アンガーマネジメントでは「6秒数えましょう」と言われますが、仕事での報告のように即座に対応が求められる場面では、6秒の間を作ることが難しいことも多いのではないでしょうか。
例えば、「部門や事業部を超えた問題・課題であり、自分たちのチームだけでは解決できない状況なので、上司の方から本部長へ問題提起をしていただきたい」と報告したとします。しかし、上司が「自分の出世や保身を重視し、他部署との対立を避けたい」というバイアスを持っていた場合、言葉巧みに「でも」「まずは」「とりあえず」などを使いながら、あるいは上司という命令できる立場を利用して、「まずは、あなたたちのチームで課題を明確化してください」と返し、こちらの意見を「否定」し続けることがあります。そうなると、その場ではこちらが打つ手を失い、話が前に進まなくなってしまいます。
こうした状況に巻き込まれてしまうと、6秒待つ余裕などなく、何度冷静に説得を試みても相手の立場は頑なに変わらず、否定を繰り返されるため、次第に苛立ちがこみ上げてくることもあるでしょう。
しかし、今回のWISERモデルの図解や、過去に作成した「人間の非論理性」の図解をもとに冷静に振り返ってみると、こうした相手をその場で説得することは、どうあがいても不可能に近いのだと気づかされます。だからこそ、むしろ「好奇心」を働かせ、「なぜ相手はこうした反論をしてくるのだろう?」「なぜ自分はそれに正面からぶつかろうとしてしまうのだろう?」と、一歩引いて「時間や空間の間」を取ることが、これからの人生においてより重要になってくるのではないかと考えさせられました。
年を重ねるほど、さまざまな人と関わる機会が増え、難しい問題に直面することも多くなるものですね。
[4] NAVIGATION|関連情報
過去の図解
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