不安の渦|未来への不安は、何を生み出すのか
[1] PROLOGUE|導入
テーマ概要
生きていると、息苦しくなることは誰にでもあります。
明日がどうなるかわからない現代に生きていると、不安にさいなまれることもあります。
そして、それは自分だけではありません。
周りにいる人たちも、それぞれに不安を抱えています。
その不安が、ときに人との軋轢を生み、社会全体に、より息苦しい空気をつくってしまうこともあります。
では、不安とはいったい何なのでしょうか。
そして、不安は私たちの中に、どんなものを生じさせるのでしょうか。
その構造を、少しずつ見ていきましょう。
参考資料
不安の哲学、岸見一郎、祥伝社新書
[2] CORE|本編
図の解説 - 紙芝居形式
図解ツールをパーツごとに分解し、詳しく解釈しながら説明していきましょう。
テーマ説明:全6枚

不安と恐怖は、少し違います。恐怖は、目の前に実際にある脅威に対して抱く感情です。それに対して不安は、まだ起きていない未来に対して抱く感情です。未来は、思い通りになるとは限りません。だからこそ私たちは、まだ見えていない未来を想像して、不安を感じるのです。

不安が強くなると、「今」の変化を避けて、現状を維持することで心を落ち着かせようとすることがあります。そして、そのとき自分や周りを納得させるために、過去に理由を探します。「こうするしかない」「これまでこうだったから」といった言い訳をつくり、その言い訳によって、今の自分を正当化しようとするのです。

でも、人間はそれでも未来へ進んでいかなければなりません。そこで、過去を参考にしてレールを敷き、その上を歩けば、未来もある程度は見通せるように感じられます。「いい大学に行って、いい会社に入れば、将来は安泰だ」。そんなふうに、決められた道を進めば未来も思い通りになるというイメージを、私たちはどこかで抱いてきたのかもしれません。

そして不安という感情は、ときに他者への怒りや妬みにもつながります。自分ではどうにもできない不安を、怒りとして相手にぶつけて、「なんとかしてほしい」と求めてしまうことがあります。そして、相手のやさしさに頼り、助けを求めることもあります。
赤ちゃんであれば、それは泣くことかもしれません。子どもであれば、甘えや癇癪として表れることもあります。では、大人になると、それはどんな形で現れるのでしょうか。

また、妬みの感情は、ときに他者の尊厳を貶めるような言動にもつながります。他者の価値を下げることで、自分の価値を相対的に高く感じようとするのです。そうやって、自分の自尊心を保とうとすることがあります。
思考回路 - 図解全体像

このように見ていくと、人類にとって「不安」という感情は、いつの時代にも付きまとう永遠の課題なのかもしれません。そして、その不安を生み出しているのは、人間だからこそ持っている「想像する力」でもあります。まだ起きていない未来を思い描けるからこそ、私たちは不安になる。そう考えると、不安は、人間が人間であることの裏返しなのかもしれません。
[3] INSIGHT|考察
図解をまとめての感想
後輩と話していたときのことです。
「自分は、最近よく怒りと向き合っているよ」と話すと、
ある後輩がこう言いました。
「私は、怒ることはあまりないですが、不安になることが多いです」
社会人としてまだ若い彼女には、これから何が起きるのかわからないことへの不安があるのかもしれません。
小さなことを言えば、車の運転も苦手で、不安になってしまうからできないとも言っていました。
一方で、私自身も、「このまま人生が、ただ同じように過ぎていくのではないか」という不安を感じることがあります。そう考えると、人は10人いれば10人、それぞれに違った不安を抱えているのでしょう。
では、不安とどう向き合えばいいのでしょうか。
ひとつは、自分が対処できる能力を高めること。
もうひとつは、結果がどうなっても、それを受け入れて前に進める自分でいること。
不安そのものをなくすというより、不安があっても前に進める自分になる。
そんなことなのかもしれません。
仏教哲学やアドラー心理学、そして哲学を学ぶたびに思います。
自分の心と向き合うこと。
それ自体が、生きることなのかもしれません。
[4] NAVIGATION|関連情報
過去の図解
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