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責任感|人生に応答する力

人の思考プロセスを、本質的な「思考回路」として視覚的に構造化する。
Systems Visualismでは、個人の内省を助け、他者との対話・共有・創造を促進するための図解を体系化しています。
本棚のように、多様な図を揃え、あなたの考える力を広げるツールを紹介します。


[1] PROLOGUE|導入

テーマ概要

社会では自己責任論が増えています。「人には意志があるのだから、すべては自分の選択の結果だろう」と。しかしそれはあまりにも冷たい言説です。

人間はどうしようもなく、自分の気持ちがどこから発生するのか分かりません。今日食べたくなったラーメンも、好きになったあの子も、自分が選んだというより、ふとそういう気持ちになった、と表現する方が正しいでしょう。

では責任とは何なのでしょうか。メディアでは政治家が「責任を取ります」と言いますが、何をしたというのでしょうか。会社でも上司が「私が責任を取る」と言っても、あとで振り返ると、結局何をしてくれたのかよく分からないことがあります。

そして部下に責任を持って仕事をしてほしいと思ったとしても、その責任はどこから生まれるのでしょうか。

「責任」は大人にとってなくてはならないものですが、それがどこから来るのか、ほとんどの人は理解していません。

今回はその「責任はどこから生まれるのか」について迫ります。

参考資料

  • <責任>の生成 中動態と当事者研究、國分功一郎・熊谷晋一郎、新曜社

  • ケーキの切れない非行少年たち、宮口幸治、新潮社

  • その後の不自由 「嵐」のあとを生きるひとたり、上岡陽江 大嶋栄子、医学書院

[2] CORE|本編

思考回路 - 図解ツール

こちらが図解ツール全体像です。
情報量が多いため、次章の解説を参考にしながら、じっくりと読み進めていただくことをおすすめします。

責任の生成 図解

図の解説 - 紙芝居形式

図解ツールをパーツごとに分解し、詳しく解釈しながら説明していきます。
テーマ説明:全13枚


人間は生きながら常に、自分に起こることを予想したり期待したりしています。それは日常のささいなことから、人生の方向に関わる大きなことまで様々です。しかし現実は必ずしも予想どおりにはならず、その差が葛藤となります。ときにその差が大きな出来事やトラウマとなり、嫌な記憶として残って、今の自分を不快な気持ちにさせます。

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普段の生活の中で、少しの暇な時間が生まれると、その嫌な記憶がふと蘇ることがあります。

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人は弱い存在です。その不快な気分から逃れたいと思うのは自然なことです。多くの場合、その逃避先はゲームや動画、お酒、甘いものなど、身近で手軽なものになります。

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しかし、それらの摂取が自分にとって利益よりも悪影響をもたらすほどに強まると、本当の依存症になってしまいます。

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このように、嫌な記憶を打ち消そうとして外部のものに頼りすぎると、依存症が形成されていきます。

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現代社会は「個人主義」や「個人の責任」を強く求めるようになっています。自分の嫌な気持ちも自分で処理せよと迫り、意志を強要し、過去を切り離して未来に進めと訴えます。それを「責任を持って選択せよ」と強く求めてくるのです。

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しかし、人は弱い存在です。そうした強要された意志をそのまま実行できる人は、まるでスーパーマンのような一握りの存在です。ほとんどの人は、強制された意志や責任に対して反発を抱きます。

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では、私たちはどうやって進んでいけるのでしょうか。それはまず、人の心理や行動の動きを、自分自身や周囲の環境、他者も含めて俯瞰的に理解できるようになることです。物事には必ずパターンがあります。

例えば小さな子どもは「人をたたけば泣く、あるいは反撃してくる」という単純な構図さえ最初は知りません。人生を経る中で少しずつそのパターンを理解していきます。人間社会で起こる多様なパターンを理解できることこそ、成長につながります。

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パターンの理解を積み重ねることは、自己理解につながります。人は社会的な存在であり、自分を理解するためには周囲との関係性を理解することが欠かせません。こうしたパターン理解を通じて、現実のさまざまな出来事に対する予測精度を高め、期待を適切にコントロールできるようになります。それが大人としての成長を促し、精神の安定をもたらします。

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社会のパターンを理解できるようになると、その中で「自分にできることは何か」を考え、気づけるようになります。

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その「自分が周りに対してできること」を実行することは、他者に応答することであり、すなわち責任を引き受けることにあたります。

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以上のように、人間は自分をメタ認知することで成長し、社会に応答できる責任ある存在へと生成されていくのです。

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「大人は責任を持って生きるべきだ」──私たちはそういう言説の中で生きています。しかしその「責任」という曖昧な概念によって、結局はいつも振り回され続けています。だからこそ、自分が生きるなかで何をするべきかを考えられる人こそ、すでに責任感をもって生きているのです。

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ここまでお読みいただきありがとうございました。

図解ツールを手元に置いて解釈を深めたり、
「責任」について周りの仲間と議論する際の、「論点の地図」として活用してください。

[3] INSIGHT|考察

図解をまとめての感想

Responsibilityを「責任」と訳すとは、うまいなと思います。
日本語での「責任」は、責めを負う任務という意味です。やらなかったこと、できなかったことに対して責められるというニュアンスがあるでしょう。

しかし英語のresponsibilityは「response」、すなわち応答しなければならない、という意味を含んでいます。役割や社会に対して「応答する」ことが、責任を引き受けることにつながる。その能動的なアクションを指しているのです。

たとえば「その仕事や課題はあなたに任されたもので、責任を持ってやりなさい」と言っても、相手が「そんなことはできない」「やっても意味がない」「面倒くさい」と思って応答しなければ、責任を果たしてもらうことはできません。

つまり、任せた仕事や課題が相手にとって理解や解像度が追いつかない場合、責任を持って応答してもらうことは不可能なのです。

だからこそ、子どもでも部下でも、責任を意識して行動できるようになってほしいと思うなら、相手が理解できるレベルで物事のパターンや状況を伝える必要があります。

このことを考えるにつけ、これまで作ってきた思考回路の図解ツールが役立つ可能性を改めて感じます。人にわかりやすく伝え、お互いの議論を活性化させるにはどうすればよいか、これからも探求を続けていきたいと思います。

[4] NAVIGATION|関連情報

過去の図解


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