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部下マネジメント|行動のズレをどう改善する?

人の思考プロセスを、本質的な「思考回路」として視覚的に構造化する。
Systems Visualismでは、個人の内省を助け、他者との対話・共有・創造を促進するための図解を体系化しています。
本棚のように、多様な図を揃え、あなたの考える力を広げるツールを紹介します。


[1] PROLOGUE|導入

テーマ概要

組織をマネジメントするリーダーたちは、いつの時代も「人」に苦労してきました。組織は人間によって構成されており、だからこそ、それぞれの「脳」や「心」が異なる方向へと作用し、時には想定外の動きが生まれます。

モチベーション向上の重要性が叫ばれ、「パーパス経営」などのアプローチも注目されています。一方で、現場では「マイクロマネジメント」のように、部下を徹底的に管理する必要性も語られています。

ドラッカーも著書『マネジメント』の中で、人間は「仕事の目的や目標が明確であり、かつ自分の責任範囲や権限が明確であると、内発的な動機が生まれる」と述べています。

こうした「仕事構造の明確化」による動機づけは、マネジメントの基本として重要です。しかしそれだけで、実際の現場のリーダーが疲弊せずにマネジメントできるとは限りません。

本コンテンツでは、マイクロマネジメントのように力で押さえつけるのではなく、「人間は弱い存在である」という前提に立った、性弱説的マネジメントの観点に焦点を当てていきます。

参考資料

  • キーエンス流 性弱説経営 人は善でも悪でもなく弱いものだと考えてみる、高杉 康成、日経BP

  • リーダーの仮面 「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法、安藤広大、ダイヤモンド社

[2] CORE|本編

思考回路 - 図解ツール

こちらが図解ツール全体像です。
情報量が多いため、次章の解説を参考にしながら、じっくりと読み進めていただくことをおすすめします。

性弱説マネジメント 図解

図の解説 - 紙芝居形式

図解ツールをパーツごとに分解し、詳しく解釈しながら説明していきます。
テーマ説明:全13枚


企業は理念をもとに活動している。そしてその理念が、事業目標やチームの目標へとつながっていく。

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チームは目標達成のために、課題を分解し、タスクに落とし込み、実行方法やスケジュールを計画する。そして最終的にそれを実行していく。この流れが、企業の仕事の基本構造である。

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その仕事に向き合うのは人間である。人間は、脳・心・身体の3つで構成される。論理的に考える「脳」、人格や感情を司る「心」、行動を生み出す「身体」。もし人間が完璧であれば、計画通りに実行するだけで仕事は完遂するはずだ。しかし現実にはそう簡単ではないことを、誰もが経験的に知っている。

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マネジメントが期待する実行内容や成果、さらにはスケジュールすらも、現場ではズレていく。なぜそうなるのか。

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まずは「脳」の問題。課題の捉え方やタスクのイメージなど、論理的思考を担う脳が認識ズレを起こす。人それぞれに異なる経験や知識を持っているため、マネジメントが持つ認識と部下の認識は一致しない。認識がズレれば、仕事の解釈もズレ、実行内容に差が生まれる。

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だからこそ、マネジメントはその認知のズレを観察しなければならない。課題を伝えたときに、部下が「わかりました」と言っただけでは信用してはいけない。部下自身の解釈を、部下の言葉で説明させて初めて、認識のズレが見えてくる。そしてそのズレを修正することが、成果のズレを防ぐことにつながる。

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次に「心」の問題。人格や感情を司る心は、常に弱さを抱えている。責任感が強く、モチベーションが高く、意志を強く持ち続けられる人など、そう多くはない。人は誰しも、楽をしようとする傾向がある。仕事の内容を正しく伝えても、手を抜いたり、後回しにしたりする。それは子どもか大人かは関係ない。だから実行内容がズレてしまう。

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人間には必ず、認識のズレと意志の弱さがあるという前提に立ち、マネジメントは組織に仕組み化を施していくべきである。行動の癖に合わせた設計、明確な判断基準や評価基準、仕事の進捗や成果を観察するルールを組織内に共有すれば、ズレを未然に防ぐことができる。

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行動を望ましい方向へ促す仕組みが、メンバーに行動習慣を定着させる。その習慣が身体を動かし、実行につながる。人間は行動することで初めて物事を「自分ごと」として捉え、脳や心がそれに応じて成長していく。

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さらに、明確な判断基準や評価基準は、メンバー間に公平感をもたらす。上司の気分で誰かを優遇するようなことがあれば、人間関係に不信感が生まれ、部下の意志を曲げさせることになる。

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仕事の観察に関する共通ルールも、あらかじめ明示しておくべきだ。上司の気まぐれで突然確認されたり、逆にまったく観察されなかったりすれば、部下の弱い意志はさらに揺らぐ。だからこそ、確認やフィードバックのルーティンを部下と合意しておくことで、楽な方向に逃げる行動にブレーキをかけられる。人は他人の目があることで、自らを律することができるのだ。

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このように、人間の脳や心の働きによって生まれる「期待と実行のズレ」を、どこまで深く管理するかは、部下によって変わってくる。いわゆる「2:6:2の法則」によれば、組織に10人いれば、2人は将来のリーダーになり得る人材。6人は平均的で、意志の弱さを前提とした設計が必要な層。そして残り2人は問題行動を起こす可能性のある部下である。

最初の2人には定期的な成果管理で十分だが、6人に対してはある程度深く、仕組みや工夫をもって対応しなければならない。最後の2人にはマイクロマネジメントを前提にしつつ、距離をとる・配置転換するなどの判断も必要になってくる。

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マネジメント理論にはさまざまな立場がある。マクロマネジメントとマイクロマネジメントをはじめ、対照的なアプローチが多く語られてきた。それらは、部下を「性善」と捉えるか、「性弱」と捉えるか、あるいは「性悪」と捉えるかという根本的な人間観の違いによって、理論が分かれているのかもしれない。

そして、正解があるわけではない。人間が十人十色であるように、マネジメントも画一的ではない。部下一人ひとりの特性を踏まえつつ、組織全体をバランスよく動かす。それが、今の時代に求められる高度なマネジメント力である。

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ここまでお読みいただきありがとうございました。

図解ツールを手元に置いて解釈を深めたり、
「人間の弱さ」「組織力」「マネジメント」について周りの仲間と議論する際の、「論点の地図」として活用してください。

[3] INSIGHT|考察

図解をまとめての感想

仕事においては、組織から与えられる仕組みやルールだけでなく、自分で決めたルールや習慣によって、自らの弱さを補っている人も多いかもしれません。

私自身も、タスクが発生したらすぐにOutlookのスケジュールに登録しておくことで、忘れても思い出せるようにしています。また、1ヶ月後に上司への報告が必要な仕事が発生した場合、その時点で先に報告会の会議を設定し、そこに向かって課題を進めていくイメージを持つようにしています。仕組みによって、自分の行動をコントロールする工夫です。

一方で、こうした仕組みがない人もいます。
たとえば、総務からの雑務をいつも締切を過ぎて何度も催促される人。1ヶ月後に報告が必要な業務でも、準備が整うまで何も動かず、ギリギリになってから報告会の予定を立てようとする人。結果的に締め切り直前でも仕事が終わってなく、納期を遅らせてしまうこともしばしばです。

これは能力や人格の問題というより、行動習慣の違いだと感じます。

そして、上司になるほど、部下の行動習慣に目を配らなければならない立場になります。近年では、クリエイティブな仕事が増え、社会はより個人主義的になり、自律的に動けない「弱さ」を抱える人も増えているように思います。

その一方で、管理職を避ける人も増えています。自己実現こそ人生を豊かにすると言われながら、もっとも自己実現が期待される「仕事」でそれを避ける」――そんな皮肉な構造が起きています。

複雑化する社会において、今後はこれまで以上に、人間の心理や弱さへの理解が求められると強く感じました。人間は、感情と論理思考の両方を持つ存在だからこそ、単純なルールだけでは動かない。この前提に立って職場を見つめ直すことで、新たなマネジメントの視点が開けてくる。
そんな予感を持った図解でした。

[4] NAVIGATION|関連情報

過去の図解

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