集団浅慮|人間は「考えたくない葦」である【動く図解】
[1] PROLOGUE|導入
テーマ概要
議論をする。
意見をまとめる。
合意形成する。
私たちはそれを、小学校のころから繰り返し経験してきました。それなのに、大人になるほど、その難しさを痛感するのではないでしょうか。
特に、
組織の戦略をどうするのか。
重要な課題にどう向き合うのか。
本来、そうした「答えのない難しい議論」こそ大切なはずです。しかし現実には、論理よりも、その場の空気によって結論が決まっていくことがあります。
本当に人間は、「考える葦」なのでしょうか。
今回は、人間社会に潜む「集団の愚かさ」に注目しながら、集団浅慮のメカニズムを見ていきます。
参考資料
集団浅慮 「優秀だった男たち」はなぜ道を誤るのか?、古賀史健、ダイヤモンド社
[2] CORE|本編
図の解説 - 紙芝居形式
図解ツールをパーツごとに分解し、詳しく解釈しながら説明していきましょう。
テーマ説明:全7枚

本来、仲の良い集団というのは理想的なものです。個人では出せない力を、集団として発揮できることが、人類を前に進めてきました。
しかし一方で、
「自分たちは選ばれた存在だ」という自負や
過去の栄光
同じ経験をした記憶が
集団の「凝集性」を高めていきます。
一体感や結束力が生まれ、それが行き過ぎると、「内輪のノリ」が作られ始めます。そこに所属する安心感や居心地の良さ、そして「ここにいていいんだ」という感覚が、自尊心を満たしていく。
すると次第に、「自分たちなら大丈夫だ」という楽観にもつながっていきます。そしていつしか、暗黙のルールが生まれ、そのルールと共に、「自分たちは正しい」という認識が強まっていくのです。

そんな集団では、何かを話し合う場面でさえ、目に見えない「空気」が生まれます。そしてその空気を察しながら、なんとなく結論が決まっていく。たとえ異論を持っていたとしても、「みんな賛成だろうから」と沈黙してしまう。
その結果、誰もはっきり決めていないのに、暗黙の合意だけが形成されていきます。そしてこの「全会一致」は、責任者が曖昧なまま進む、日本的な意思決定を生み出してしまうのです。

さらにこの凝集性は、同質性の高いメンバーが集まることで、より強くなっていきます。
たとえば、
似た年齢
似た性別
似た出身や価値観
そうした「似ていること」が、集団の結束にさらに拍車をかけていくのです。

そんな中で、時には異論を持つ「逸脱者」が現れることがあります。しかし皮肉なことに、その存在が現れることで、集団は逆に「自分たちは同じ側だ」という意識を強めてしまう。 そして、集団はさらに強く凝集していくのです。

本来、異論や反論と向き合うためには、大きな「認知の負荷」が必要です。つまり、自分たちの考えを疑い、立ち止まって考えなければならない。
しかし人間は、
「考える葦」と言われながら、
実際には、
「考えたくない葦」でもあります。
だからこそ、思考への負荷がかかると、認知バイアスが刺激されていく。そして人は、考える苦しさを避けるために、「自分たちは正しい」と合理化を始めます。
さらに、逸脱者を「悪」と決めつけることで、自分たちの正しさを守ろうとするのです。

そして最後には、逸脱者を説得し、自分たちと同化させようとします。それでも従わなければ、今度は疎外し、孤立させていく。時には、相手の精神を傷つけながら、集団の外へ追い出そうとすることさえある。
そうして集団は、自分たちの凝集性を、必死に維持しようとするのです。
思考回路 - 図解全体像

このように、人間は集団で生きる生き物だからこそ、集団の力は、良い方向にも、悪い方向にも働きます。そしてその方向性を決めるのは、集団の中に多様性を受け入れられるかどうかです。
異なる意見を排除せず、
考えることから逃げないこと。
それが、集団浅慮に飲み込まれないために、とても大切なのです。
[3] INSIGHT|考察
図解をまとめての感想
図解をまとめて感じたのは、人は論理だけではなく、感情によって動く生き物だということです。冷静になってその言葉を咀嚼すると、改めて感情の力の強さを思い知らされます。
歳を重ね、我が子を育てるようになってから、ドラマや映画、ニュースでさえ、親子の絆を感じさせる場面に触れると、ふと目頭が熱くなることがあります。20代のころよりも、感情が大きく揺さぶられている感覚があります。
そして、
そうした感情が強く反応するのは、これまで積み重ねてきた経験があるからなのでしょう。
結局人間は、経験によって人格が形作られ、感情的に反応する。
だからこそ、
「考えて行動する」ということは、
簡単ではありません。
今回、集団浅慮の題材として扱われていたフジテレビの事件も、登場人物たちの感情によって動き出しているように感じました。極論を言えば、イデオロギーも、独裁者も、人の感情を揺さぶることで人を動かしていく。
人間は感情の生き物です。
そして、
自分の感情を制し、
さらに人の感情を動かせる人が、
この世界で大きな力を持っていく。
そんな人間社会の恐ろしさを、
改めて感じさせられました。
[4] NAVIGATION|関連情報
過去の図解
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