【ショートストーリー】黒歴史。
「つか、つか、つか。マリリンさん。」
前髪具合を気にしながら、昼休みの女子トイレで話しかけてきたのは、ジョセフィーヌこと山田さんで、マリリンさんこと私はハンカチを口に咥えて手を洗っているところだった。
「なぬ、なぬ、なぬ。ジョセフィーヌそん。」
「そん、とはw。いえね、マリリンさん。くろれし…、くろれしき…。」
「ん?ん?くろれしき?」
「く、ろ、れ、き、し。そう、黒歴史。なぞ、おありかな?」
「ふむふむ。黒歴史とな。」
ジョセフィーヌがぶっ込んだことを聞いてくるのは、常だから、なおかつ、私もそこには応えたい派だから、ここはサラッとぶっ込んだわけ。
「中学んときの、あれかな、痛すぎストーカー行為。」
「痛すぎストーカー行為!」
「バスケ部のおだっち先輩いたじゃん?めちゃかっこよかったべ?で、あっしさ、たまたま先輩が近所の公園で、自主練しとるの見てさ、おんなじ色のバスケットボール買ってもらったりして。1on1相手してもらうために練習めっちゃしてさ、ボール抱いて寝て。」
「うぉ。きも。」
「きもいやん?w しかもさ、手紙よ。手紙、毎日書いてさ。」
「毎日?きも!」
「いや、待て、ジョセフィーヌ。もっときもいのがよ、その手紙、渡してないんだよ。」
「へ?へ?渡さん手紙を毎日書いとったと?」
「きもいやろ。痛いわぁー。」
「痛すぎやわー。痛すぎマスオさんですわw。」
「ですです、ですマスクw。」
ジョセフィーヌとあっしは、「ですマスク」のところで、お決まりのポーズをして笑う。
「マリリンどのよ。黒歴史ってるわー、それ。」
「黒歴史ったわー、まじで。」
「ですです、ですマスク!w」
再びしっかりと二人でポーズをキメていた。
あのころ、私の一人称は「あっし」で、佐藤かよという本名とはかすりもしないマリリンと呼ばれていた。山田のことをジョセフィーヌと呼んでた理由なんて、たぶんただのノリだった。
お願いだから、もう、駅で私を見つけて遠くから
「マリリーーン!!!」
と、手を振ってこないでほしい。
私ってば、全然マリリン顔じゃないし。がっつり、佐藤顔なんだもの。しかも三十路よ?
あぁ、こういうのを黒歴史っていうんだろうな。
#チャレがや 企画に参加してます!今回のお題は「黒歴史」。
作品中の、「先輩と同じ色のバスケットボールを抱いて寝る」のと、「渡さん手紙を書いていた」というのは、私の中学のころの黒歴史。
黒歴史って言おうとすると、くろれしき…ってなっちゃいますよね〜。笑
コッシーさん、みくまゆたんさん、
よろしくお願いします🏀
