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【ショートストーリー】フェアトレード

夕方届いた小包に、見覚えのある筆跡。
声に似合わず、華奢な、どこか頼りなさげな文字には、月に二度ほど触れていた。活字のメッセージ機能よりも、少しだけ改まって伝わる彼女の日常は、けれど、彼女の仕草や動作のスピードまでうかがわせるようだった。いや、こちらの読み方だろうか。少しでもそこに、彼女の思いを感じようとするこちらのエゴイズム、だろうか。

小さな包みを開ければ、さて、丁寧なラッピングの中に、かわいらしいパッケージのチョコレート。そして、「好きそう」なポストカードやらキーホルダーやら。そのいちいちに、付箋で(かわいい猫のイラスト付きの)「これはこの前行った美術館のもの」だとか、「これは今人気の絵本のキャラだよ、しってる?」などの彼女なりの解説つきだった。
肝心のチョコレートは。
そう、今は2月の14日前後だからで、これはまさしくバレンタインの贈り物なのだ。

「Happy Valentine!!
フェアトレードの、オーガニックチョコレートです。甘いものが得意ではないあなたでもきっと美味しく食べてもらえる、はず。」

可愛らしいイラストのパッケージには、国際フェアトレード認定証のマーク。公平、公正な貿易により、途上国の労働者や企業を支援するという。

公平、公正。

彼女から以前言われたセリフが頭をかすめる。
「あなたには家族があるから。それでも、少しだけでも、私を想ってくれるだけで、私の心は安定するの。」

いや、考えすぎだろう。
カリッといい音を立てて齧ったチョコレートは、しっかりとビターで、思わず甘いカフェオレでも淹れたくなった。



それぞれのバレンタインをお過ごしのことと思います。#チャレがや 第三弾のテーマは『バレンタイン』とのことで、さっそくに。
いろんなバレンタインを読むのも楽しみにしております。


#みくまゆ会
#チャレがや
#バレンタイン

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