観察研究のピットフォール!患者要因の交絡因子だけでなく医師の処方選好にも注目すべき理由
薬物療法の有効性や安全性について、ランダム化比較試験による検証は内的妥当性に優れている一方、高齢者や小児、妊娠女性、重篤な合併症などを有する人は被験者から除外されていることが一般的です。
また、ランダム化比較試験の多くは、有害事象リスクを検出するうえで統計学的な検出力が十分ではありません。その意味では、観察研究もまた、ランダム化比較試験の結果を補完するうえで重要な知見を提供してくれます。
ただし、コホート研究に代表されるような観察研究では、曝露とアウトカムの関連性を評価するために必要な全ての情報が網羅的に収集できるわけではありません。特に、既存のデータベースを用いた研究(いわゆる後ろ向きコホート研究)では、手元のデータセットのみで解析を行うより他なく、例えば喫煙や飲酒に関する情報が取得できていなければ、これらの変数を多変量解析に組み込むことができません。
薬物療法の有効性や安全性を観察研究で検討する場合には、適応症の交絡がしばしばバイアスをもたらす要因となります(Walker AM. 1996;PMID: 8793355)。
適応症による交絡とは、ある治療法の有効性を評価する際に、治療を受ける理由となった疾患の重症度や合併症などが結果に影響を与えてしまうバイアスです。
例えば、重症度が高い人に処方されやすい薬剤を曝露として観察研究を行えば、当然ながら同薬剤を使用した人で死亡リスクが高くなるでしょう。しかしながら、死亡リスク増加は薬剤の潜在的な有害事象ではなく、この薬剤を使用するような人は(そもそも)死亡リスクが高いということにすぎません。
このような、薬が処方されやすい傾向性は、医療セッティングや医療者に起因した交絡バイアスと考えることも可能です。しかしながら、医師の処方選好は、潜在的な予後因子として定量化が難しく、従来的な多変量解析、あるいは傾向スコアマッチングでは厳密な補正が不可能でした。
今回の記事では、観察研究における適応症の交絡について、その具体的な影響と観察研究の論文を読むうえで留意しておくべき視点を整理します。
無症候性の高尿酸血症に対する医師の処方選好
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