【空き家をめぐる記録 #21】複数人の気配|Episode7-3
複数人の気配
このころはまだ競売物件のことを詳しく知らず、怖いもの知らずの行動を取っていた。
家がない、失うものが何もない状態だったから、怖いというより「安い」と条件に合う物件を見つけると期待に心が躍った。
物件が見つからないときのほうが怖かった。
いつまでこの状態が続くのかという不安が常にあった。
その物件の間取りを改めて確認すると、東に二車線の市道があり日当たり良好な玄関が東向き、南側は人が通れるだけの細い径、隣家は畑を挟んでだいぶ離れていた。西に畑があり、南側の細い径には家が建ちそうにない立地だった。北側には前所有者の事業で使っていた大きな縦長の倉庫があり、その隣が民家だった。
借家へ引っ越して一年が経とうとしていた春の頃、朝、目が覚めると複数人の気配がした。
恐る恐る扉をほんの少し開けて様子を覗くと——。
あの朝、何が起きていたのか。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
この先では、あの日の朝に何が起きていたのかを、今も残る記憶をたどりながら綴っています。
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