【空き家をめぐる記録 #16】ちょっと、ちょっと待って|Episode2-1
ちょっと、ちょっと待って
「それでは失礼しました」
と電話を切ろうとしたところ、耳から離した受話器から声が聞こえた。
「ちょっと、ちょっと待って」
切らずに返事をすると、理由を聞かれた。
話していると、以前は代行もやっていたけれど、落札後に買わなかったお客さんがいて苦い思いをしたことがあると伝えられ、こちらの事情を話してほしいと言われた。
とっさに詳しく説明できず、一旦電話を切った。
それから母と一緒に内容を紙に書いてFAXを送ってみると、一度お越しくださいと言われた。日時を決め、母が一人で訪問することになった。
だいぶご高齢のおじいさんの車に乗せてもらい、競売に出されている物件を現地まで連れて行ってもらえた。
外から眺めながら一通り見て車に乗り、そこから同じ道を東へ数分走った。
両サイドを山に囲まれ、畑や田んぼが広がるのどかな田舎道だった。
先ほどの競売物件よりさらに静かな場所で、到着したのはなんと大きな屋敷と広い敷地だった。
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