【空き家をめぐる記録 #24】わかりにくいものには嘘が潜んでいる|Episode10-3
わかりにくいものには嘘が潜んでいる
案の定、作成された書類はホームページの内容と全く違い「土地家屋付き物件」と表記されていた。
確かめてみると、れっきとした物件として掲載されているのに内容が違う。しかもサイトには載っていない項目が加えられ、売却金額が表記の二倍に膨れ上がっていた。最初からその金額なら内見どころか予約すら入れなかった。
キッチンの屋根は朽ち落ちてシンクが剥き出しの状態だったけれど、手持ちの金額で購入できるなら住みながら直していけると思っていた。父も直すことへの意欲があり、内見時には必ず住んだ後のことを考えて写真を撮っていた。微小な字で「返金できません」と記されていたことも、後から気づいた。
そして後から調べてわかったことだが、ホームページでは物件として掲載しておきながら、書類では土地として扱うことで、建物の欠陥についての責任を限定しようとしていた可能性があった。
通常の中古住宅として売り出されていれば、説明されていなかった欠陥があった場合に修繕や代金の減額を請求できる。しかし土地として扱えば建物は「おまけ」となり、その責任を負わずに済む。ちょうどこの頃、民法改正によって売主の責任がより強化されたばかりだった。
当時はそのことを知らなかったけれど、なんとなく不審に感じていたのは間違いではなかった。
そして契約前に「返金できません」と記されていたことも、内金を受け取ってしまえば返さないという意味だったのだろう。法的には無効になり得る条件だったとしても、その場で気づくのは難しかった。事前に母に内金を払わずに帰るよう伝えておいて、本当に良かった。
わかりにくいものには嘘が潜んでいる、と正にそのような対応だった。
後日、受付の方に丁重にお断りを入れた。
空き家をめぐる記録は、ここで一区切りとなります。
いくつもの家と、いくつものご縁がありました。そのどれもが、わが家にはならなかった家たちです。
次の記録へ続きます。
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