【空き家をめぐる記録 #21】いるいる|Episode7-1
いるいる
なんと振り込む相手先が誤って、二重に入金されていた。
通帳には見たこともない夢のような数字が並んでいた。実際、夢のように消えてしまうのだけれど。
年が明けるまで先方から連絡はなく、こちらからも入れなかった。年が明け、自宅まで二人の方が訪れた。
父は仕事で不在だったので、勝手に話し合うのも気が乗らなかった。
玄関の横の部屋にいると外の様子がわかる。「いるいる」という声が聞こえた。夜逃げでもしたと思ったのか、自宅の電気メーターを確認している様子に腹が立った。
その後、父が先方に連絡をして仕事の現場まで来てもらい、話し合いをして無事解決した。
ようやく保証金が確保でき、購入できる準備が整った。
けれどもその保証金を、父は古くなっていた車の購入に充てた。空き家購入までひたすら出金しないようにと思っていたけれど、その都度の生活費を削り、母の年金からも追加しながら、なんとか持ちこたえてきた日々だった。
借家暮らしになってからも近所で空き家を見かけることがあったけれど、どうにもできずただ見ているだけだった。不動産屋さんに出ている物件はどれもそれなりの値段で、購入にはほど遠かった。
一般市場では買えそうもないため、主に競売情報を見るようにした。この頃はまだよくわからず、とりあえず金額と父の仕事道具を置くための大きさで選ぶことにしていた。
ある時、飛び跳ねたくなるような良さそうな物件を見つけた。
けれども惜しくも入札期間が終了したあとだった。どうしても内容が知りたくて、
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします。いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます。