【空き家をめぐる記録 #19】同時刻の奇跡的展開|Episode5-1
同時刻の奇跡的展開
内見に行った父と母が帰ってくるや否や、父は首をしきりに傾けながら、
「駄目だ」
「暗い」
と言った。
母から聞くと、窓も開けてもらえず暗闇の中で案内され、二階への階段は今にも壊れそうな板が斜めになったままで、滑るのではないかと思ったという。
聞いていてお化け屋敷を想像してしまった。
ここには引っ越さずに済むと、母と喜び合った。
安堵したのも束の間、借家はなかなか見つからなかった。
国道沿いの不動産屋さんが紹介してくれたアパートも見ながら、通院中の母がバスの車窓から大きな「空き家を紹介している看板」を見たと言うけれど、三か月に一度の検診で「名前を覚えていない」という。
大学病院専用のバスが隣町を通るルートだったことをきっかけに、父に隣町の不動産屋さんへも当たってみたらと母がそれとなく話してみた。しばらくして父が、
「良い物件があったぞ」
と見せてくれた間取り図が最高で、しかも母が言っていた不動産屋さんで見つけた物件だった。
すぐに問い合わせると内見なしで契約し、審査待ちになった。
以前の審査落ちのショックがあったけれど、期待に胸を膨らませながら電話を待った。
父の携帯電話が鳴り、待っていた不動産屋さんからの審査の合否の知らせが入った。
父が話している最中に、
自宅の電話が鳴った。
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