【空き家をめぐる記録 #22】もう既に終わっています|Episode8-2
もう既に終わっています
「ご親族の方ですか」
と聞かれた。
「いえ、入札を希望している者ですが」
と事情を説明すると、事件番号を伝えて調べてくれた。返ってきた言葉は思いがけないものだった。
「もう既に終わっています」
(ええ)この時は競売のことをよく知らなかった。私が見たときは三回目の公告だった。あの市役所の「次まで待って」とは、いったい何だったのか。
後から調べてわかったことだが、三回も不買になるような物件はプロでも手を引くほどの問題を抱えているとされているらしい。「特別売却も含め三回目で売れない物件はゴミ」とまで言われていることも目にした。
このときはそのような情報まで見ておらず、安い物件だと個人が落札した結果も見ていたから、怖い印象を持っていなかった。
驚いて慌てて市役所に電話で問い合わせると、担当者が、
「終わっていましたね」
と、今日知りました、とでも言うかのようなあっけらかんとした口調だった。こちらの焦りとの温度差に押されながら、理由を聞く間もなく矢継ぎ早に、
「司法書士の先生に」
「はい」
と相変わらず軽快な口調に圧倒されながら、破産管財人に選任されていた司法書士の名前と連絡先を聞いた。
さっそく電話をかけてみると、あの上機嫌な市役所の担当者とは打って変わって、冴えない対応だった。
事情を説明しても明快な返答がなかったけれど、予約を取って父と母が出向いた。
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