見出し画像

【空き家をめぐる記録 #20】このトンネルが少し怖い|Episode6-2


近所をお散歩がてら歩いていると、空き家が目に入ってしまう。歩いて十分ほどで小さなトンネルをくぐり抜けると、一気に海が目の前に広がった。

けれどこのトンネルが少し怖い。一瞬、引き返したくなる雰囲気がある。辺りは草がぼうぼうで、砂がトンネル内に吹き込んでいて天井が低く薄暗い。
それでも砂浜が狭く誰もいない海を、母と二人でゆっくり堪能できた。

借家に移ってから数か月後の秋、わが家だった家がBIT(不動産競売物件情報サイト)の期間入札に掲載された。
喜べる内容ではないけれど、三点セットをダウンロードして目を通していると、絶望していた気持ちが少しずつ変わっていった。

五月の立入調査の内容が、今度は希望へと変わって見えた。

物件明細書の最後の項目に、こう記されていた。

「買受人は改めて借地権設定契約及び保証金の預託が必要になる」

現況調査報告書の関係人の陳述等の用紙には、担当者からの回答として、預託されている保証金は未払債務を差し引いてから所有者に返還されると明記されていた。

無理だと思っていた保証金が「返還される」と、きちんと記載されていた。

実は、この保証金について後に驚かされることになった。



いいなと思ったら応援しよう!

琇夏 よろしければ応援お願いします。いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます。