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【空き家をめぐる記録 #20】夕日がとてもきれいだった|Episode6-1

引っ越しは、父がレンタルしたトラックで何度か往復した。

 疲れた身体と目に入る夕日

借家へ向かうとき、荷物に埋もれぎゅうぎゅうになった車の後部座席。
窓に差し込む夕日がとてもきれいだった。到着した頃には辺りがすでに暗くなっていた。


出て行くと言っていた兄は、一向にその気配がなかった。

父と母は庭の倉庫内の仕事道具を処分するため何度か往復していた。競売物件に出ている間は自由に出入りできるけれど、公共料金の支払いが続くのが気になり、母は兄に「行く当てが見つかるまで借家へ」と置き手紙を置いていこうとした。

ところが滅多に平日に休まない兄が部屋で寝ていたという。話し合うと喧嘩になるだけだからと、そっと置き手紙だけ置いて様子を見ていた。

それからすぐに、一緒に暮らすことになった。

引っ越し先の借家は築七十年。

内装はリフォームされていて、とても築七十年とは思えないほどきれいだった。

和室は旅館のような豪華な造りで、滅多に目にすることのない立派な欄間と書院がとても魅力的だった。

縁側は隣家の庭とリビングが向かい合っていたので眺めを楽しめないのがもったいなかったけれど、幅の広い広縁で、照明もお洒落で落ち着く雰囲気だった。
二階へ上がると畳の香りのいい和室が二部屋あり、窓からは海が見えて風情のある景色が広がっていた。

目の前には立派なお寺があり、月に一度、鐘の音が間近で聞こえてくるのがとても贅沢で癒された。



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