【空き家をめぐる記録 #18】俺は出ていくから|Episode4-3
俺は出ていくから
審査の結果は
「今回は残念ですが」と、通らなかった。
父が見つけてきたという古い戸建て住宅、入居者募集中の看板が立てかけてあるのを車で通った際に見つけたとのことで、間取り図を見ると気の休まらない造りだった。
廊下がなく玄関を開けるとすぐに部屋で、小さいうえに壁が少なく浴室にすら壁がなかった。
一時しのぎの物件としても住みたくなかった。しかも方位が最大凶の五黄殺に当たっており、避けたかった。
当時、兄も一緒に住んでいた。借家へ引っ越す話をすると、
「俺は出ていくから」
と言われ、父と母と私の三人で暮らすことになった。
家を手放す話になった年の暮れ、慎人は必要な荷物だけを持って出ていった。
家がなくなる悲しさより、家族が話し合いなくバラバラになっていくことが切なかった。
寂しさと、あの借家で暮らすのかという憂鬱な気持ちが重なっていた。
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