【空き家をめぐる記録 #19】諦めなくてはいけない事情があった|Episode5-2
諦めなくてはいけない事情があった
着信番号を見ると、おじいさんの不動産屋さんからだった。
母が電話に出ると、もう駄目になったかと諦めていた山と畑に囲まれた空き家の持ち主と連絡が取れたというのだ。
その同じ時刻に、隣町の不動産屋さんからの借家の審査が通ったという知らせも届いた。
ようやく引っ越せると、うららかな陽気のように嬉しく、安堵感が広がった。
おじいさんの話はどうしようと母が迷っていると、父は、
「話だけでも聞いてきたら」
と言い、母がおじいさんのところへ出向いた。
折角尽力してくれたのに断るのが申し訳なく思いながら事情を説明すると、
「そこは断って、こっちで」
と、
今まで見たことのない情熱が伝わってきた。
もっと早くこのような言葉や熱意が欲しかったと思った。
ただ、
諦めなくてはいけない事情があった。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします。いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます。