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【短編ファンタジー小説】      妖ばばあの鑑定所 『6』  

「鑑定所大忙しの巻」

旅から帰ったばばあを待ち受けていたのは
ばばあがたまに用事を頼む狸の妖大吉だ。
今回留守番をお願いしていた。

「ばばあ遅いよ~鑑定たまってるよ」
「ああ ごめんよ せっかくだから四国八十八ヶ所を巡って来たのさ」
「も~」
「お土産の京美人でも食べておくれ」
と京都で買ったばばあの好きなお菓子を渡した。
大吉も普段は人間の姿だ。
20歳位の若者だ。

「じゃあ 早速鑑定に入ろうかね、お客を呼んできておくれ」 
「わかったよ」 
大吉は京美人を食べながらお客さんを呼びに行った。

早速一人目のお客だ。
40代の女性で少しぽっちゃりのご近所さんだ。
食べる事が生き甲斐の人だ。
「ばばあ 米が高くて買えないよ~
お米が安くなる祈願をお願いします」 
「タイムリーな相談だね
祈願して安くなるもんじゃ無いと思うがね
とりあえずやっとくわ
今日はそこのお供えのお米持って帰っていいぞ」 
「本当!ありがとうばばあー」 
と嬉しそうに米を抱えて帰って行った。

二人目のお客。
これはたまに来る近所の奥さんだ。
「ばばあ 死んだ父ちゃんが毎日夢枕に立つんだ怖くて眠れないよ」
「あんた墓参りしてないだろ?仏壇にもお茶とお菓子と果物を
お供えしないと父ちゃんがあの世で恥かくよ。
あの世もどんなお供えが来たか競争なんだよ」 
それを聞いて奥さんは真っ赤になり
慌てて帰っスーパーに走った。

三人目のお客。
年の頃は30歳位の男
「こんにちはばばあ、俺ここ最近毎日金縛りにあって目を開けると妻の怖い顔がぼ~っと視えるんだ」  
「それは奥さんの生霊だね、あんた最近キャバクラ言っただろ?
あんたのカバンに名刺が入ってるのを奥さんが見たんだよ!ご愁傷様」 
「えーどうしたらいいの?生霊怖いよ、ばばあ除霊して」 
「自業自得だろ そんなの自分で何とかしろ
毎日顔合わせてるんだから謝るしかないね」 
「そこを何とか。俺の奥さん恐いんだよ」 
男は焦っている。
「全く世話がやけるね」
「じゃあ生霊祓いの方法を教えてやるから自分でやりな」
とばばあは生霊祓いの方法を男に教えてやった。

「は~疲れるね」
とばばあはまたたびの粉で一服した。

ばばあ次のお客さん来たよ。大吉が言う。

「次の方どうぞ」
もう病院の待合室状態になっている。

4人目のお客が入って来た。
「こんにちは、どうしたんだい?」 
19歳位の若者だ。
専門学校の学生らしい。
内容はこうだ。
高校時代から付き合っていた彼女と遠距離になって
しばらくたって彼女が別れたいと言ってきたらしい。
「ばばあ 僕は別れたくないんだ どうしたらいい?」 
「あー新しい男でも出来たのかね」 
「絶対そうだよ」 
「あきらめな」ばばあがあっさり言うと 
若者は涙目になり
「そんな簡単に忘れられないよ」 
「女々しい奴だね」 
と言いながらばばあは紙で人型を作り始めた。
「これにその女の名前と生年月日を書きな」
とばばあが言うと若者は言われた通りに書いた。
それを肌身離さず持っておくんだとばばあは若者に伝え
また一週間後に来るように言った。

それからばばあは1日に10人の鑑定を5日間やりとげた。

一週間も経たない内に若者が血相を変えてばばあの所にやって来た。
「ばばあ 大変な事が起きたんだ。」
「どうしたんだい?」
「寝るときも人型をパジャマのポケットに入れて寝てたんだ
そしたらこの人型が夜中に歩き出したんだ」
と青ざめて言う。
「それで?」 とばばあが言った。
「まどの外に消えて行ったんだよ」
「そうか」
とばばあは飲みかけのお茶を飲みながら
「もしお前と彼女が元さやに戻れるならば
その人型はお前の元にあるはずなんだ
でも出で行ったと言う事は
彼女はお前の元には戻らないのさ
これで分かっただろ、これが人型の術さ」 
若者は恐怖と悲しさでうつむいた。
「めそめそしないで顔上げな」 
「これで諦めがついただろ」
そう言ってばばあは若者に新しい恋が訪れるように
恋愛成就大祈願のお経を唱えてあげた。
「今日は特別サービスだ」
若者は泣きながらじっと手を合わせてお経を聞いていた。

空は青く晴れている
ばばあのお経が響きわたっている。





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