“角打ち”進化論――酒屋立ち飲みは、なぜ今も残るのか
1. 角打ちとは何か

角打ちという言葉が日本全国で使われるようになったのは、ここ20年ほどのこと。元々は九州北部の方言で、酒屋の店先や一角(=角)で酒を飲むスタイルを指していました。今や「角打ち」という呼び名はすっかり定着し、全国の酒屋で「角打ちできます」と掲げる店も増えています。
定義としては、「酒類販売免許をもつ酒屋が、自店の売場の一部でお酒を飲ませること」と言えるでしょう。居酒屋のように飲食営業を主としていない点が、最大の違いです。実際、缶や瓶をそのまま売るだけでなく、店内や店先で飲む場が提供されている。椅子があってもビールケースでも、それは「角打ち」です。

昭和の時代にはどの町にもあった角打ち。しかし量販店やコンビニが増え、いつしか“懐かしい昭和の風景”とされてきました。それでも、令和のいま、新しい角打ちが各地で生まれている。都市の景色が変わっても、誰かがその“角”に立ち、静かにグラスを傾けている。
その理由を、テレビ番組や無料WEBコンテンツ以上に深堀って紐解いていきましょう。
2. 角打ちの成り立ちとルーツ
角打ちの語源については諸説ありますが、最も有力なのは「店の角で酒を飲む」ことから。「升の角を打つように傾けて飲む」から、という説も。実は海外にも似たような文化があり、日本独自のものとも言い切れません(後述)。
私自身の原体験は、小学生の頃、親に連れられて小田原の酒屋で瓶入りジュースを飲んだこと。冷蔵ケースから自分で選び、レジで精算。栓抜きを借りて、店先でぐいっと飲む。隣には地元のおじさんがビールを片手にぽつり。会話を交わすこともあれば、静かに時間が流れることもある。ここには居酒屋とも違う、絶妙な距離感とぬくもり、緊張感がありました。
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