vol.007「けっきょく、「人生の時間を何に割り当てるか問題」である。」
「本がなぜコストパフォーマンスがいいのか」は、やや使い古されたテーマだけど、あえて書き出してみると、
・成功した人の数十年のうち良いところだけが、プロの編集者に加工され消化しやすい形で、1,2時間分に凝縮されている。
・かつ、文字は情報であり複製が効くから、一冊1,500円~で手に入る。発行部数や内容によって価格がつり上がったりしない
で説明できると考えている。
◆人は、知らないことを検索できない
本を読むご利益は、
① 何かしら、役に立つモノや技術を知ること
② 自力ではリーチできない情報を得ること
にあると思っている。
後者、②の例でいうと、。
「待てよ?ローマ時代、お金で皇帝の座を買った人物がいたかいなかったか?」
「そうだ!ハクジラはシャチに聞こえない音域の信号で会話してるかどうか?」
という検索キーは、独力では思いうかばない。
スマホを「はい、どうぞ」と渡されて、Googleの扉ページをいくら眺めても、「問い」を考えつくのは個人の知見に左右されるからだ。
◆不確かなものを混ぜる
本を選ぶときのポイントとして、
1.再現性の高いものを選ぶ
2.賞味期限のながいものを選ぶ
3.不確実性の高いものを選ぶ
と考えている。
1.再現性の高いものを選ぶ
文章の書き方。
基本的な調味料の合わせ方。
運動神経にさほど自信がない身としては、
「リアルタイム(1倍速)で進めなくていい作業」
がこれに該当する。
学校では教わらないことで、知ると再現性が高いものの代表は、お金に関することだ。
投資、借金と利息、現金かそれ以外か。
お金は、数量であり、等価だから、解釈や主観の入る余地が無い。
「これは価値ある80円です!そこらの100円より価値がありますよ!」といったことがない。
2.賞味期限のながいものを選ぶ
話すコツ。印象の良い立ち方。正しい名刺交換。
一度覚えると、十年程度は持つ。
たとえば「Windows 7の賢い使い方」より「伝わる話し方」のほうが賞味期限がながい。
極端な例が「古典の名著」だと思っていて、
『韓非子』が1970年の時点で価値があるなら、2020年の時点でも価値がある。
世に出てからの二千年に対して、直近の五十年は「誤差」だからだ。
3.不確実性の高いものを選ぶ
自然科学。英語以外の外国語。実益に結びつくかわからない趣味。
役に立つか立たないかわからないもの。
いつどのように還ってくるかわからないもの。
数学っぽくいうと「期待値の計算ができなくて、最大値が大きそうなもの」。
これらを、定義が正しいかわからないけど
「不確実性の高いテーマ」
と呼んで、読む本のなかに一定量まぜるようにしている。
+ + +
あるとき、「創作」「文学」をあまり読んでこなかったことに気づく。
4.想像力、感性を鍛えるものを選ぶ
「鍛えるため」
というとスキル的で、
「磨くため」
「摩滅させないため」
といえばよいだろうか。
本は食べ物と同じである、「たくさん読んだか」ではなく「良い本を、どう読むか」だ、
と友人は指摘する。
たしかに「食事」と考えるとわかりやすい。
内容の薄いものを大量に摂取することは本質ではない。
「エンプティカロリー」の概念に近いだろうか。
実用書、ハウツーだけを読むのは、
「必要な栄養素を摂ればいい」
と、サプリメント錠剤だけで過ごすようなものか。
「見た目や匂いもふくめて美味しい食事」を取り去ると、人生の楽しみがずいぶん減る。
◆仕組みを作っておくこと
本を読む目的には二つある。
・知らないことを知るために読む。
・知っていることを確認するために読む。
後者、「自分の信じるところを補強するために読む」という行為は魅力的で、中毒のように惹き込まれる。
よほどに注意が必要だと思っている。
前者、「知らないことを知る」について。
この世にある本の99.999...%は、「知らないこと」だ。
書籍は年間に日本国内だけで数万冊出版される。
英語、中国語、スペイン語、、、を合わせて、仮に1千万冊だとすると、タイトルを読むだけでも、一生追いつくことはない。
つまり、
・書店に行って目に付いた本を手に取る
・Amazonで表示された本をクリックする
さえできれば、自動的に「知らないこと」を読める。
単純な話だ。
だけど人間にとって、
「好きに選んでいい」
は、
「なかなか選べない」
と同じだから、選べない。
そこで、仕組み化が必要になる。
<本を選ぶ切り口>
①同じ分野の本を複数読む
・一つのテーマについて、違う著者の書いた本を読む。
②同じ著者の本を複数読む
・一つのテーマの深堀りになるか、(一見)別のテーマにわたるかは、著者による。
③参考書籍にある本を読む
・読んだ本で紹介されている書籍、文献から適当に選ぶ。関連分野ではあるものの、内容は広がりやすい。
④同じ訳者の本を複数読む
・たしか成毛眞さんが紹介していた手法。訳者にも"得意な分野"はあるようだけど、内容は広がりやすい。
この中で、手間が少なく、かつ半自動化しやすいのは、
②④→③→①
だ。
②④は、Amazonや楽天や図書館、「検索→クリック」で済む。
③は、最初の本を手に取って開かないと確認できない。
①は、なにかしら、自分で絞り込む必要がある。
「考える材料を持ってないのに考える」
ことは、まず時間の浪費だから、自動化できる手法があるといい。
◆とりあえず「読みます」と言う
得体のよくわからないものに、手を出すかどうか迷うことがある。
信頼している相手が熱心に薦めてくれた。
複数の、互いに無関係のルートから入ってきた。
そんなときに
「ありがとうございます。買ってみます」
と踏み切る。
不確実性が高いテーマは、つまり知らないテーマだ。
例外なく、自分で判断がつかないから、直観だ。
直観ですらなく、「決めの世界」だ。
外れることもあるかわりに、当たると、得るメリットのバリエーションが豊富だ。
接点のなかったコミュニティに触れる。新しい友人を得る。のちに思わぬことで役立つ。
「よくわからない本を手にとって、読んでみる」
は、頻度は高くなくていいけど、組み込んだほうがいい。
長いスパンで考えると、得をするように思っている。
(前編ここまで)
