古い時計|毎週ショートショートnote
おじいちゃんの古い作業小屋で、壊れた置時計を見つけた。歯車は錆びだらけで針も止まっていたが、僕はその時計に不思議な魅力を感じた。
「ねぇおじいちゃん。この時計、直せばまた動くようになる?」
おじいちゃんは「どれどれ」と言い、目を細めて時計を見る。
「そうだなぁ。とりあえず、分解してみようか」
大きな部品、小さな部品……机の上の隙間がなくなるくらい、たくさんの部品が並んだ。
「時計はたくさんの部品が正確に組み合わさって動くんだ。どれも欠けてはいけない。どれか一つでも欠ければ、時を刻めなくなってしまうからね」
「へぇ」
おじいちゃんと一緒に一つ一つ部品を磨き、壊れた歯車を修理していると、不思議と胸の奥が温かくなった。
綺麗になった部品と歯車を組み合わせて、最後のネジを締め終えると、時計の針が静かに動き出した。
「どんなに小さな部品でも、大切なんだね」
「そうだよ。普段は見えないんだが、全ては意味を持って組み合わされているんだ。そして、小さなものの集まりが、大きなものを動かす。時計も、人も、世の中もね」
静かに、でもしっかりと動く時計の針を見ていたら、僕の中でも何かが動き出した気がした。
学校の友達や家族、自分の体や心。この世界はいろいろなものが組み合わされて、大切なものを創り上げている。
「ねぇ、この時計、僕の部屋に置いてもいい?」
「いいよ。その時計は、君の小さな世界だから」
(了)
たらはかにさんの企画「毎週ショートショートnote」に参加しています。
今週のお題は「蘇生試験」です。
全然思い浮かばなかったので、「組成」から連想して書いてみました。
こちらもどうぞ。
テーマ「創作」でCONGRATULATIONSを頂きました!

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