棒アイドル|毎週ショートショートnote
「超大型アイドル鮮烈デビュー!」
「今までのアイドルの常識を覆す!」
「歴史が生まれる瞬間を見逃すな!」
ある日、煽りまくったCMコピーがネット上に踊った。詳細は一切なく、ただ日時と場所が記載されているだけ。
「新手の宗教勧誘か?」
「壺を買わされるのに一票」
「煽るほど内容はショボい予感」
ネット上では否定的な憶測が飛び交うが、それでもアイドルの記事は拡散されまくった。
そして、ライブ当日……。
100人ほど集まった会場、ステージ上には少女が1人、マイクを持って立っている。
照明が暗くなり、軽快な音楽が流れ始め、観客のボルテージは最高潮に達した。
少女は微動だにしない。
観客が「?」と思い始めた瞬間……突然、会場の照明が明るくなった。
「本日のライブは終了となります」
終了アナウンスが流れた。
今や「歌って踊れる」というのは当たり前。ならば、1周回って「歌いもせず、踊らないアイドルにしよう」という、中堅芸能事務所のぶっ飛んだアイディアだった。
「新しい!」
「期待と予想を裏切られた!」
「ダントツ推し決定!」
ネット上では、話題沸騰である。
「お疲れ様でした」
スタッフは少女にねぎらいの言葉をかけ、ひょいと抱き抱える。
少女は精巧につくられた人形だった。
(了)
『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』
たらはかにさんの「毎週ショートショートnote」とnoteクリエイターフェスの「#ショートショート書いてみた」の投稿用です。
今週のお題は「棒アイドル」です。
昔、テレビで誰かが「役者は立っている演技が一番難しい」と言っているのを思い出し、「ならば……」と書いてみました。
私はアイドルに全く興味がなく、誰が誰だかさっぱり分かりませんが、漠然と「可愛くて歌が上手くて踊れて」というのはもう大前提で「プラスα」がないと辛いのではないかなぁと思います。
だから一時期、クイズ番組とかで、アイドルがわざとおバカな回答をするのが流行ったんでしょ?
まぁ、「日本の首都は?」と聞かれて「首都って何ですか?」と聞き返す人を見たら、親が気の毒だと思いますけどね。
noteクリエイターフェスの「#ショートショート書いてみた」に同時投稿させて頂きました。
現在、投稿22日目。
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