奇跡の星|掌編小説(#シロクマ文芸部)
手渡されたのは光る種。
俺はそれを手の平に乗せた。
「奇跡の星と言われた地球も、こうなると寂しいものですね」
「46億年か。まぁ、頑張った方じゃないか? 途中でこうなるのは予想できたけどな」
師匠は大して興味がなさそうに言う。俺が熱心に地球観察をしている時も、師匠は「何がそんなに面白いんだか」と呆れていた。
この光る種は、地球の成れの果て。46億年前の姿だ。
「知恵と文明を与えたからでしょうか?」
「いや、それらは人間が自ら手に入れて発展させたものだ。そして、滅ぶ道を選んだ。それだけのことよ」
「愚かですねぇ」
「愚かじゃない者などいない」
師匠は俺の手の平から種を取り、宇宙へと放った。種は淡い光を放ちながら遠ざかって行く。
「また奇跡の星になるでしょうか?」
「どうだろうな。なったとしても、我々が出会う可能性は低い」
「地球に出会ったのも奇跡と言うわけですか?」
「まぁ、ロマンのある言い方をすればな」
全ては奇跡の連続だ。
しかし、それを「当たり前」と思った時から、きっと緩やかに終わりへと向かうのだと思う。
(了)
小牧幸助さんの「シロクマ文芸部」、参加用です。
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