もし、ある日を境に撮れない被写体があるとしたら
どうも、プロレスとか役者さんポートレートを撮っているたかはしです。
今回はネガティブな、私の体験談。
「もし、ある日を境に撮れない被写体があるとしたら」
と聞かれたら、あなたはどうしますか?
例えば花だったり、夕日だったり、時期・時間的に「その瞬間しか撮ることができない」が写真の基本です。
でも今回お話ししたいのは人です。人間です。
事前に相談があったわけでもありません。
休業しますと本人から発表があったわけでもありません。
いつのまにか、です。
撮った写真を見てもらうことも、連絡を取ることも、安否を確認することもできぬまま、何もできずにいる。
そんな状況、あなたならどうしますか?
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私はまだ受け入れることができないでいます。
他の人がどうでもいいとは思っていませんが、彼女はかけがえのない存在だから。
この記事のヘッダー、上の記事のヘッダー、noteとTwitterのヘッダー、Twitterの固定ツイートに彼女の同じ写真を掲載しています。
これは彼女の狂信者だからというわけではなく、この写真こそ私が目指す写真の根底だからです。
理想像というより羅針盤です。
そんな人物ですので、私個人としては時計の針が止まってしまったような感覚に陥り続けています。
その期間5ヶ月。
昨年11月に初めてポートレートを撮ったペーペーですので、そのうちの5ヶ月というのは想像以上に大きな影響を与えています。
以前なら出来なかった手法が使える。
以前なら無かった機材が使える。
以前なら失敗していた写真も失敗しない。
そう思っても撮れません。
私という人間には、この事実に抗うほど強い精神はありませんでした。
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なんで今更書き直そうと思ったかと言えば、彼女が以前出演した朗読劇の再演を観劇したから。
前回彼女がいたはずの役には別の方がいます。
演出も役者も違えば、それは別の物語です。
でも演劇に疎い私は、そこに彼女の影を見てしまいました。
たぶん普段は考えないようにしていたのだと思います。
ですが不意に抑えていたものが決壊を起こして思考を支配してしまいました。
もしここに彼女が立っていたら、どうなっていただろうかと。
今の技術で、的確なコミュニケーションで、ブロマイドを撮影できていたらどうだったろうかと。
今の自分の考え方、取り組み方は正しいのだろうか。
彼女に与えてもらった写真の方向性を見失っていないだろうか。
この1枚を更新できるような、思い入れのある写真は撮れるのか、撮るべきなのか。
自分と同じように、誰かに衝撃を与えるほどの何かを持った写真は撮れないのか。
目の前の劇にも確かに感情を動かされていました。
でも頭の中にはパズルの欠けたピースから、そこはかとない虚しさと否定の濁流が生まれるような感覚に陥っていました。
完全に、失ったものの大きさに立ち向かえていませんでした。
「もし、ある日を境に撮れない被写体があるとしたら」と問われたら。
私の答えは「受け入れることはできない」。
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話を変えて。
この5ヶ月、いろんな写真展を見て回ってきました。
SNSでも多くの方と繋がることができ、以前の数倍写真を見る機会が増えました。
そのなかで、はっきりと写真の好みが出るようになりました。
強く惹かれる写真と、そうでない写真。
とくにポートレートにおいてはその区別が、より明確に。
観劇後に落ち込んだメンタルの中でその答えを探りました。
何が基準にあって、何が根底に存在するのか。
結局たどり着いたのは、その1枚の写真です。
その写真に自分が込めた意義こそ、私が数ヶ月経っても無意識に変えなかったものでした。
「誰のためでもない写真」
結局自己満足の世界なんだなと思い至りました。
自分は世に多く出回っているポートレート写真、その鑑賞者の椅子に座れませんでした。
だから「自分が座り心地のいい鑑賞者の椅子」を自分で作る。
そして、もしかしたら同じ感覚を持った、その椅子を座りに来てくれる方がいるかもしれない。
自分からも、より幅広い方に座り心地を試してもらえるほど魅力的なものを作って、出会いを増やしていく。
それこそが、問いへの答えに繋がると。
「もし、ある日を境に撮れない被写体があるとしたら」と問われたら。
私の答えは「受け入れることはできない。でも貰ったものと一緒に歩んでいくしかない」。
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これは半端者の戯言ですが。
いま目の前にある被写体は、永遠ではありません。
今まさにこの瞬間にも姿かたちを変え、ときには儚く散ってしまうこともあります。
多くの方は知ったうえで撮っているとは思いますが、ふとすると忘れている事実でもあると思います。
どうか大切なものは、撮れるときに撮っておくことを勧めます。
そのクオリティを後悔ないものにできるよう、日夜腕を磨くことも併せて。
連絡が来ることを待ってます。
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