とにかく明るい浪人生の春休み:母による観察記
春から浪人生の娘が、先週、無事高校を卒業した。
国立の後期試験が終わったタイミングの卒業式で、大半の生徒の進学先は決定している。例年、浪人する(学校では「進学準備」と呼んでいる)卒業生は全体の1割程度の高校だ。さすがに多少は置いてけぼりの心細さを感じるかと思いきや…
類は友を呼ぶのか、比較的親しい面々が駿台だ河合だと言っているらしく、「いやあ、案外仲間が多かったよ」と、上機嫌で卒業式後の打ち上げから帰ってきた。
そのうえ、「〇〇ちゃんは、河合塾でチューターをするんだって。駿台だったら会えたのになあ」ですと?
バカヤロウ。
予備校に余計なお金を落とす娘と予備校から手堅くお金を取り返す同級生。立場の違いをよく理解してほしい。
さて、この明るい浪人生、予備校が始まる4月上旬までは、英気を養いつつ、開講に向けて適度に勉強する、というスタンスのようである。ひとまず、駿台の春期講習キャッシュバックキャンペーンを利用して、「春の有機化学」なる、なんとなく情緒のあるタイトルの講座を受けてみることにした。
これが大変よかったらしく、「塾の授業が初めて面白いと思った」と、またもや素っ頓狂なことを言ってくれる。
彼女は現役生時代、東進ハイスクールにお世話になっていた。高3の5月まで陸上部で走っていたので、好きな時に好きな場所で受講できる東進を選んだ。
東進の映像授業という方式は、私のように、わざわざ片道2時間近くかけてお茶の水の駿台に通った人間から見ると、実に画期的だ。辺鄙なところにいても、一流の先生の講座が受講できる。
映像授業は、距離だけでなく時間さえも超えることができる。娘は、今は亡き伝説の先生の生前の講義を、自宅からiPadで見ていた。
ただし、決まった時間割がない中で、必要な講座を計画通りに受講し、きっちりと復習までこなすにはそれなりの強い意志が必要だ。それがないと「好きな時に好きな場所で」はあだになる。果たして娘の場合はずっと「いつやるの?」状態で、ようやく「今でしょ」となったところで本番を迎えてしまった。
と、今さら悔やんでも仕方ない。「春の有機化学」のテキストに嬉々として亀の甲を書きこんでいる娘に、
「1年遅いんだよ!」
と言いたい気持ちをこらえ、母は見守るのである。
ほんとにもう、頼みまっせ。
