リピーターに影響すること〜⑤しくみ構築
「根性」でリピーターは作れない
「大石さん、スタッフには『リピーターを大切にしろ』と耳にタコができるほど言っています。でも、なかなか徹底されなくて・・・」
経営者の皆さん、心当たりはありませんか?
リピーターを増やそうとするとき、多くの人が「スタッフの意識向上」や「おもてなしの心」といった「精神論」に頼ろうとします。しかし、私は断言します。
リピーター育成に必要なのは「根性」ではなく「しくみ」です。
第1話から、私は自分を「しくみ構築アドバイザー」と名乗っています。
なぜなら、人間のやる気や記憶力には限界があるからです。
忙しいとき、体調が悪いとき、嫌なことがあったとき、など。感情に左右されるサービスは、バケツに空いた大きな穴になります。
どんな状況でも、誰が担当しても、自動的にリピートの階段をお客様が登ってしまう。その「全自動の装置」を作ることこそが、私の仕事です。
しくみ構築の3本柱:コンタクト・タイミング・コンテンツ
通販業界が30年以上かけて磨き上げた「しくみ」の基本は、以下の3つの要素をガチガチに固めることです。
1. コンタクト(手段):どうやって繋がるか?
ハガキ、メール、LINE、電話、手渡し・・・。
お客様にリーチするための手段を、一つに絞らず複数組み合わせる「マルチチャネル」のしくみが必要です。
「うちはSNSだけ」というのは、バケツの一部にしかパテを塗っていないのと同じです。届く確率を最大化するしくみを設計します。
2. タイミング(時期):いつ伝えるか?
第4話でも触れましたが、リピートには「黄金のタイミング」があります。
購入直後の「サンクス(感謝)」
使い切る直前の「リマインド(再提案)」
3ヶ月後の「カムバック(休眠防止)」
これを「担当者の気づいたとき」にやるのではなく、カレンダーやシステムで「強制的に実行される状態」にします。
3. コンテンツ(内容):何を伝えるか?
毎回「買ってください」という案内を送るのは、バケツの穴を広げる行為です。
「お肌の調子はいかがですか?」「この時期はこういう使い方がおすすめですよ」といった、お客様のメリットになる情報を、あらかじめ準備(テンプレート化)しておきます。
事例紹介:ある「サウナ施設」を救った全自動しくみ
私が以前支援した、サウナ施設の事例を思い出してください。
そこでは「熱心なスタッフの接客」に頼っていましたが、スタッフが辞めるたびにリピーターも減るという問題を抱えていました。
そこで、以下の「しくみ」を導入しました。
「来店後の自動LINE」: チェックアウトから1時間後、「本日のサウナ後のケア方法」と、次回の優先予約リンクを自動送信。
「魔法の3・7・21ルール」: 初来店から3日後、7日後、21日後に、サウナの健康効果に関するコラムを配信。
「ランクアップの可視化」: 3回目の来店で自動的に「ゴールド会員」に昇格し、専用のサウナハットが貸し出されるしくみ。
スタッフの努力は「目の前のお客様への笑顔」だけに集中させ、それ以外の「リピートさせる作業」はすべてシステムが担うようにしました。
結果、属人性がなくなり、誰が受付をしてもリピート率が安定する、強固なバケツへと生まれ変わったのです。
専門用語の補足:マーケティング・オートメーション(MA)
顧客の行動(購入した、サイトを見たなど)に合わせて、最適なメッセージを最適なタイミングで自動配信する技術のことです。今では安価なツールで中小企業でも導入可能です。これこそが、現代の「自動穴塞ぎ機」です。
【実践】あなたのビジネスを「しくみ化」する3ステップ
今すぐ、あなたの「おもてなし」を「しくみ」に変えてみましょう。
ステップ1:顧客動線を「紙」に書き出す
お客様が来てから、2回目、3回目に来るまでの理想的な流れをフロー図にします。
ステップ2:各ポイントでの「ツール」を決める
「ここでサンクスカードを渡す」「3日後にLINEを送る」と、具体的に決めます。
ステップ3:それを「カレンダー」に組み込む
「火曜日は先週の新規客にハガキを書く日」など、業務フローの中に最初から組み込みます。これがないと、忙しさを理由に必ず止まります。
【まとめ】
リピーター育成を「善意」や「やる気」に頼るのは今日で終わり。
「コンタクト・タイミング・コンテンツ」の3要素を標準化する。
スタッフが「笑顔」に集中できるよう、事務的な追客はしくみに任せる。
継続的に回るしくみこそが、経営者の不安を消す唯一の手段である。
今日から行動に移す一言:
「今まで『あ、忘れてた!』と思ったリピート施策を一つ選び、それを忘れないための『チェックリスト』を今日中に作ってみよう」
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最後までお読みいただき、ありがとうございます。
