企画がまとまらない経営者の共通点とは? — 「あれもこれも」の足し算を今すぐ捨て、15分で最強の設計図を完成させる引き算のしくみ
「大石さん、既存客への新しいアプローチや、夏のキャンペーンなど、やりたいアイデアは頭の中にたくさんあるんです。でも、いざ企画をまとめようとすると、あれも大事、これも伝えたいと頭がゴチャゴチャになってしまい、結局何一つ形に(言語化)できず、時間だけが過ぎていきます」
「社長、あなたの企画がまとまらないのは、あなたにアイデアの才能がないからでも、文章力がないからでもありません。
お客様に『ついでにこれも伝えたい』という、売り手側の欲張りなエゴ(ノイズ)を捨てきれていないからです。
すべての情報が詰まった幕の内弁当のような企画は、誰の心にも刺さらず、バケツの底を抜きます。
企画の神髄とは『何を足すか』ではなく『何を捨てるか(引き算)』なのです!」
1. 「ついでにこれも」という悪魔のささやきが、企画を殺す
まず、多くの経営者がパソコンの前でフリーズしてしまう最大の原因である、「足し算の罠」の正体を暴きましょう。
社長の頭の中には、「せっかくDMを送るのだから」「せっかく新しいキャンペーンを打つ(お金をかける)のだから」という、投資に対する回収への強い執着があります。
その結果、企画書を書こうとすると、以下のような悪魔のささやきが聞こえてきます。
「夏のギフトの案内をするけれど、ついでに新商品のサプリの紹介も入れておこう」
「既存客へのご無沙汰フォローの手紙だけれど、ついでにお友達紹介キャンペーンの用紙も同封しよう」
「この施策のターゲットは40代の女性だけれど、ついでにご主人も使えるように文章を工夫しよう」
これこそが、あなたの頭をゴチャゴチャにさせ、現場のスタッフを混乱させる、最も恐ろしいバケツの穴です。
人間の脳は、一度にたくさんのメッセージを受け取ると「処理不能」となり、思考を停止させます。
ターゲットもバラバラ、目的もバラバラの「全部のせ」の企画を作ろうとするから、何から書き始めればいいか分からなくなり、完璧主義のドツボにハマって「明日やろう(後回し)」となるのです。
企画がまとまらないのは、能力不足ではありません。「捨てる勇気」というしくみが欠如しているだけなのです。
2. 脳内の霧を晴らす「仕事人の企画突破方程式」
では、どうすれば迷うことなく、一瞬で鋭い企画の骨組みを創り上げることができるのか。
失敗する人は、「せっかくだからこれも入れよう(ノイズ)」を二乗で肥大化させます。要素を足せば足すほど、メッセージは薄まり、誰にも響かない丸い企画になります。その結果、突破力は完全にゼロ(無反応)になります。
成功する人は違います。
「ついでに」という誘惑を、血を流してでもバッサリと切り捨て(ゼロ化)ます。
そして、「今回の企画で、お客様に起こしてほしい行動(目的)は『ただ1つ』だけ」と絞り込み、「それは『あの特定のお客様』の、この悩みの穴を塞ぐためだけのものである」と、レーザービームのように的(まと)を絞り切るのです。
目的が「1つ」に研ぎ澄まされた瞬間、あなたの頭の渋滞は一瞬で解消され、「どう書けばいいか」が自動的に溢れ出してくるようになります。
3. 山田養蜂場での「企画室の1メッセージ・ルール」
1995年からの5年間、私が株式会社山田養蜂場で顧客開発室(企画室)の責任者を務めていた頃。私たちは毎日のように全国のお客様へ向けた新しいリピート企画やDM、キャンペーンを量産していました。
その企画会議の中で、私自身に対して徹底的に敷いていた、絶対に破ってはならない「鉄の掟(しくみ)」がありました。
それは、「1企画・1メッセージの法則」です。
当時の若手スタッフが、
「大石さん、今度の夏のキャンペーンのチラシができました! ローヤルゼリーの酵素分解の凄さをアピールしつつ、裏面にはプロポリスの割引案内を載せて、さらにお中元ギフトの申し込みハガキも付けました! 完璧です!」
と、自信満々で分厚い企画書を持ってきたことがありました。
「 伝えたいことが3つもある手紙なんて、お客様にとっては何の魅力もない『ただのゴミ(売り込み)』。今すぐ、酵素分解の凄さ『だけ』を伝える手紙にしてみよう!」
私たちが160億円という途方もない売上を叩き出せたのは、お客様の頭を混乱させる「情報の幕の内弁当」を作らなかったからです。
「今日は、あなたのお肌の乾燥のこと『だけ』を心配して手紙を書きました」
「今回は、いつも定期購入をしてくれているあなたに、感謝のプレゼントを送ること『だけ』が目的です」
伝えたいことをたった1つに絞り込む(引き算する)ことで、メッセージは異常なほどの「体温」と「鋭さ」を持ち、お客様の心のど真ん中にグサリと突き刺さります。
複雑な企画など1つもいりません。研ぎ澄まされたシンプルな企画の高速回転こそが、通販ビジネスの最大のしくみなのです。
4. 事例紹介:宮崎の「老舗洋菓子店」が、引き算の企画で夏のギフト売上を3倍にした話
宮崎にある、創業40年の老舗洋菓子店の事例です。
2代目の社長は、夏のお中元(サマーギフト)シーズンに向けて、既存のお客様に送るDMの企画書を作ろうとしていました。しかし、1週間経ってもパソコンの画面は真っ白なままでした。
「大石さん、夏のギフトの案内もしたいし、新しく導入したポイントカードの告知もしたい。それに、新作のマンゴーケーキの予約も取りたいんです。これを1枚のチラシにどうやって配置(デザイン)すれば綺麗にまとまるか、ずっと悩んでいまして」
私は社長のパソコンをパタンと閉じてこう伝えました。
「社長、あなたが悩んでいるのはデザインじゃない。『欲の皮が突っ張っている自分自身のエゴ』と戦っているだけです! お客様はあなたの店のチラシを隅から隅まで読んでくれるほど暇じゃないと思いますよ。今すぐ『ついでに』を全部捨てて、企画の目的を1つに絞ってください!」
私たちは、社長の頭の大渋滞を解消するため、以下の「15分企画・引き算のしくみ」を導入しました。
「やらないこと(捨てるアイデア)」の明確化:
ホワイトボードに、ポイントカードの告知、新作ケーキの案内を書き出し、その上から赤いマジックで大きな「×(バツ)」を書かせました。「今回のDMでは、これらは絶対に案内しない」という引き算の法律を作ったのです。
ターゲットの極限の絞り込み:
「全員」に送るのをやめ、「昨年、お中元ギフトをうちで3件以上発送してくれた『超VIPの常連様』」だけにターゲットを絞り込みました。
1メッセージへの研ぎ澄まし:
目的は「今年も夏のギフトを予約してもらうこと」の【ただ1つ】。
メッセージは「〇〇様、今年もあの『大切な方への夏の贈り物』の季節がやってきました。〇〇様が昨年選ばれたあの焼き菓子セット、送り先の方にとても喜ばれたと仰っていましたね。今年も〇〇様のお顔に泥を塗らないよう、私が責任を持って最高のものをご用意いたします」という、100%相手のためだけのラブレターを、わずか15分で書き上げました。
結果はどうなったか。
「あれもこれも」の売り込みノイズが消え、自分への誠実なメッセージだけが残ったDMを受け取った超VIPの常連様たちは、
「社長、今年も私のお中元選びを任せるわ! いつも私のことを覚えていてくれてありがとう!」
と、次々と予約の電話や来店が殺到。
ポイントカードや新作ケーキの案内を完全に削ったにもかかわらず、ターゲットの心を深く撃ち抜いたことで、この洋菓子店の夏のギフトの売上は、フリーズしていた前年のなんと「3倍」へと大爆発したのです。
企画のスピードと成果は、何を足すかではなく、何を捨てるかで決まる。その動かぬ証拠です。
5. 専門用語の補足:KISSの法則(Keep It Short and Simple)
マーケティングやデザイン、コピーライティングの世界で長年語り継がれている絶対原則です。「Keep It Short and Simple(短く、そしてシンプルにしておけ)」、あるいは「Keep It Simple, Stupid(シンプルにしておけ、この愚か者め)」の略です。
複雑な企画や、選択肢が多すぎる提案は、お客様の脳に強烈な摩擦を与え、離脱の穴を広げます。あなたの企画は、中学生が読んでも「あ、私にこれをやってほしいんだな」と1秒で理解できるシンプルさ(しくみ)でなければならないのです。
6. あなたの脳内を1秒で整理し、最強の企画を15分で作る3つの仕事人アクション
難しいフレームワークは一切不要です。今日からあなたの企画作成スピードを100倍にするための具体的な処方箋です。
① 企画を書く前に、「やらないこと(捨てるアイデア)」を3つ書き出す
新しいDMやキャンペーンの企画を考えるとき、最初に「やりたいこと」を書くのはやめてください。
まずは白い紙に、「今回の企画では絶対に案内しないこと(例:新商品の告知、SNSの登録お願い、ポイントの案内)」を3つ書き出し、それに大きなバツ印をつけてください。この「引き算の儀式」を行うだけで、あなたの脳のメモリーは劇的に軽くなり、本来伝えるべき1つのメッセージに100%のエネルギーを注げるようになります。
② 目的を「A4用紙の中心に1フレーズ」で書く(KISSの法則)
企画書を何枚も作る必要はありません。A4の紙を1枚用意し、そのど真ん中に、
「〇〇様(ターゲット)に、〇月〇日までに、〇〇を注文してもらう(目的)」
という、1フレーズだけを極太のマジックで書いてください。
そして、その紙をデスクに貼り付けます。その1フレーズから少しでもブレる文章(余計な挨拶や自慢)は、すべて無慈悲に削ぎ落とすしくみを徹底してください。
③ 「15分間のタイムプレッシャー(締切のしくみ)」を自分に課す
パソコンの前にダラダラと座っているから、余計な「足し算の欲」が湧いてくるのです。
スマホのタイマーを「15分」にセットし、「この15分間で、目的の1メッセージだけを書き殴る。15分経ったら強制終了して、それを現場に回す!」と決めてください。タイムプレッシャーは、脳から迷いと完璧主義(フリーズ)を完全に吹き飛ばす最強のパテになります。
7. 実践:「企画の引き算度」健康診断チェックリスト
あなたのバケツは、「お客様のため」という言い訳の裏で、単なる情報過多のゴミ箱になっていませんか?
□直近で作成したチラシやDM、メルマガの中に、お客様にお願いしたい「行動(Call to Action)」が2つ以上(例:買ってね、かつSNSも登録してね)混在していないか?
□企画をまとめるとき、「せっかくだからついでに」という言葉を無意識に使っていないか?
□その企画の「たった1つの目的」を、中学生でも分かるような15文字以内の言葉で即答できるか?
□企画書(設計図)を作るのに、何日も時間をかけて現場の実行スピードを遅らせていないか?
□「情報量が多ければ多いほど、親切で売れるはずだ」という素人の思い込みを、今すぐゴミ箱に捨てる覚悟があるか?
3項目以上「NO」がある、あるいは胸が痛いと感じるなら、あなたのビジネスは今、幕の内弁当のような中途半端な企画のノイズによって、お客様の行動のスイッチを破壊し、利益を毎日のように他社へと垂れ流しています。今すぐ、引き算の企画しくみへと大手術を行わなければなりません。
最後に:捨てる勇気こそが、社長の最大の「愛と決断」である
「大石さん、1つのメッセージに絞るのが大切なのは分かりました。でも、せっかくお金をかけて郵送するDM(チラシ)だから、少しでも多くの情報を載せないと、なんだか損をしているようで、捨てるのがもったいなくて怖いです」
とても真面目で、会社の経費を大切にしている経営者様から、時折このような正直な本音をいただきます。その気持ち、痛いほどよく分かります。限られた予算の中で、最大限の回収(リターン)を狙いたいという、経営者としての生存本能ですよね。
「『もったいないから』と情報を詰め込むことは、経費の節約ではない。お客様の『読む時間と労力』を平気で奪う、売り手の傲慢なエゴ(大穴)である。本当に相手を愛しているなら、相手の脳に1ミリの負担(摩擦)もかけないよう、自らが血を流して情報を極限まで削ぎ落とす(捨てる)のが、プロの仕事である」
想像してみてください。
あなたが風邪をひいて熱を出して寝込んでいるとき。お見舞いに来た友人が、「風邪薬と、ついでに美味しいステーキと、さらに最近おすすめの映画のDVDといろいろ持ってきたよ!」と大量のものを広げ始めたら、どう思いますか?
「今は風邪薬と水だけでいいんだ。めんどくさい、帰ってくれ」と思いますよね。
お客様も同じです。彼らは日々、情報の洪水の中で疲れ果てています。
そこに、「社長、今日は〇〇様が一番悩んでいる『あの痛み』を消すための、この解決策【だけ】を持ってきましたよ。他の話は一切しません」と、スッと差し出してくれる。
その、圧倒的なシンプルさ(優しさ)に触れた時、お客様は「あぁ、この人は私の今の状況を本当に分かってくれている(自己重要感の充足)」と大感動し、迷うことなくあなたのバケツへと戻ってきてくださるのです。
幕の内弁当を作るのは、今日、この瞬間で終わりにしましょう。
あなたには、もう十分なお客様への体温と、素晴らしい商品があるのですから。あとは、余計な飾りをすべて捨てて、その核となる価値を一本槍で突く勇気を持つだけです。
さあ、今日はごちゃごちゃした企画書に色を塗るのを今すぐやめましょう。
その代わりに、真っ白なA4の紙を1枚だけ用意し、
「うちを信じてくれているあのお客様に、今日『たった1つだけ』伝えるとしたら、どの言葉(愛)を届けようか?」
と、極限まで引き算した最強のメッセージを、15分間で一気に書き殴ることから、新しい黄金の企画の歴史を始めてみませんか?
あなたのバケツの穴は、あなたが「ついでに」というエゴを捨て、捨てる勇気(引き算のしくみ)の盾を掲げたその瞬間から、完璧に、そして二度とお客様を迷子にさせない鋭い黄金の器へと生まれ変わり始めます。
【まとめ】
「ついでにこれも伝えよう」という足し算の欲(エゴ)が、企画を幕の内弁当化させ、顧客を思考停止(フリーズ)させる最大の大穴。
企画の突破力は「何を足すか」ではなく「何を捨てるか」。目的を「たった1つ」に絞り込め。
通販の強みは、1つのDMに1つのメッセージだけを込め、顧客の脳に1ミリの摩擦(フリクション)も与えずに行動させるKISSの法則。
捨てる勇気は、経費の無駄遣いではない。情報過多でお客様の時間を奪わないための、プロとしての最高の「愛と思いやり」である。
今日から行動に移す一言:
「今、頭の中にある新しい企画のアイデアから、一番伝えたい【1つのコアメッセージ】だけを残し、それ以外の『ついでにやりたかったこと』を勇気を持ってすべてゴミ箱に捨て(引き算し)、15分間で構成を書き上げよう」
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