なぜ、あなたの会社の商品は素晴らしいのにリピートされないのか?ー全国を行脚して見えた「地方の盲点」と「ファン化のしくみ」


なぜ多くの企業は、穴の開いたバケツで水を汲み続けようとするのか

私は2001年に通信販売実務コンサルタントとして独立し、これまで25年以上にわたり、一貫して「顧客をリピートさせるしくみ」の構築に命を懸けてきました。2026年3月現在、私が直接支援させていただいた企業は全国で約600社にのぼり、主宰するセミナーの受講者はのべ6,000人を超えています。

現在は大阪と沖縄の二大拠点を中心に、毎月のように飛行機や新幹線を乗り継ぎ、日本全国のクライアントのもとへと飛び回る日々を送っています。日々、多くの経営者とお会いする中で、私が自らに課している使命はただ一つ。

「穴の開いたバケツに、一生懸命水を注ぎ込もうとしている企業を救い出し、そのバケツの穴を完全に塞ぐこと」

これに尽きます。

多くの企業、特に売上や集客に悩む地方の企業は、どうしても「新規顧客の獲得」ばかりに目を奪われがちです。
「もっとホームページのアクセスを増やさなければ」
「もっとSNSでバズらせなければ」
「広告費を投入して新しいお客様を呼ばなければ」
確かに、新規のお客様を呼び込むことはビジネスのスタートラインとして極めて重要です。

しかし、考えてみてください。せっかく多大なコストと労力をかけて集めたお客様が、一度きりの購入や利用で離れていってしまっているとしたら、それは底に大きな穴が開いたバケツで水を汲んでいるのと同じではないでしょうか。

どれだけ上から勢いよく水を注ぎ込んでも、注いだ先から水は底からドバドバと漏れ出ていく。バケツが満たされることは永遠になく、経営者はただただ、水を注ぎ続ける労働(=過酷な新規集客競争)に疲弊していく。これが、現代の多くの企業が陥っている「集客中毒」の正体です。

私が提唱し、20年以上にわたって実践してきた「バケツの穴を塞ぐ仕事」とは、まさにこの漏れ出ている穴を見つけ出し、顧客が自然と定着し、何度も自社の商品やサービスを買い続けてくれる「リピーター育成のしくみ」を構築することに他なりません。

私のビジネスの原点は、1995年から2000年まで在籍した株式会社山田養蜂場にあります。当時、私は顧客開発室(企画室)の責任者として、「顧客倍増プロジェクト」のリーダーを任されていました。当時の売上は8億円。
そこから、通信販売のノウハウを徹底的に磨き上げ、実践し、顧客データを緻密に分析してリピートのしくみを構築した結果、わずか5年間で売上を160億円へと押し上げることができました。じつに「5年で売上20倍」という驚異的な躍進です。

この在籍した5年間で、私は通信販売における集客からリピート、ファン化、そしてブランド構築に至るまでの、すべてのノウハウを文字通り血肉化しました。
通販というビジネスモデルは、お客様の顔が直接見えないからこそ、データに基づいた「リピートのしくみ」が何よりも洗練されている業界です。
一度買ってくださったお客様に、2回目、3回目、そして10回、20回と買い続けていただくための「科学的なアプローチ」がそこには凝縮されています。

独立後、私はこの通販業界で培った「リピーター育成のノウハウ」は、決して通販会社だけのものではないと確信しました。
店舗ビジネス、製造業、サービス業、BtoB企業にいたるまで、あらゆる事業において「バケツの穴を塞ぐしくみ」さえ導入すれば、売上は安定し、利益率は劇的に向上します。

特にその恩恵を受けるべきなのが、日本全国に点在する「地方の企業」なのです。

第1章:全国行脚して見えた、地方企業の「現実」と「ポテンシャル」

私は大阪と沖縄を拠点に活動していますが、これまで支援させていただいた約600社のクライアントは、特定の地域にとどまることなく、文字通り日本全国津々浦々に広がっています。ここで、私がこれまでにご縁をいただき、実際に足を運んで支援を行ってきた都道府県をすべて挙げさせてください。

北海道、宮城、秋田、岩手、山形、茨城、群馬、栃木、千葉、東京、神奈川、埼玉、山梨、長野、岐阜、愛知、新潟、富山、石川、福井、三重、京都、和歌山、滋賀、大阪、兵庫、岡山、広島、山口、鳥取、島根、徳島、香川、高知、愛媛、福岡、佐賀、大分、熊本、宮崎、鹿児島、そして沖縄。

北は雄大な自然に囲まれた北海道から、南は熱い太陽が降り注ぐ沖縄まで、日本のすべての都道府県の企業と向き合ってきました。また、これに伴い、セミナーも全国の主要都市で開催してきました。札幌、仙台、東京、富山、静岡、名古屋、大阪、香川、徳島、福岡、熊本、鹿児島、那覇。それぞれの都市で、熱意ある経営者やマーケティング担当者の方々と、膝を突き合わせて議論を重ねてきたのです。

私はもともと「通信販売プロデューサー」(独立当初は通信販売コンサルタント)としてキャリアをスタートさせたため、お声がけいただくクライアントは、大都市圏よりも「地方の会社」の割合が圧倒的に多いという特徴があります。具体的には、これまでに支援した約600社のうち、なんと8割強が地方の企業になります。

なぜ、これほどまでに地方の企業とのご縁が多いのか。そして、なぜ私が地方企業の支援にこれほどまでに情熱を注ぎ続けるのか。それは、地方の企業こそが、日本経済を支える「宝の山」であり、同時に「最もバケツの穴を塞ぐしくみを必要としている存在」だからです。

日本全国を飛び回って確信したことがあります。それは、「どの地域、どの企業にも、他には真似できない素晴らしい資源と、独自の地域性が必ず眠っている」ということです。

地方には、その土地の気候、風土、歴史、そして何世代にもわたって受け継がれてきた職人の技術や、独自のこだわりが詰まった素晴らしい商品が溢れています。
農産物、水産物、加工食品、伝統工芸品、さらには地元のインフラを支えるサービス業まで、大都市の企業には到底真似できない「本物の価値」を持っている企業が無数に存在するのです。

しかし、同時に非常に歯がゆい現実にも直面してきました。それは、これほどまでに魅力的な資源を抱えている地方企業の多くが、「自分たちの本当の良さを世の中に伝えるのが、驚くほど苦手である」という点です。

どんなに素晴らしい商品を作っていても、その価値が顧客に伝わらなければ、存在しないのと同じになってしまいます。
また、一時的なブームや行政の補助金、あるいは運良くテレビ番組に取り上げられて一時的にドカンと注文が殺到(新規獲得)したとしても、その後に顧客を定着させる「しくみ」がないために、一過性のバブルで終わってしまうケースを、私はこれまで何度も見てきました。

地方の企業には、大都市の企業のような潤沢な広告予算はありません。だからこそ、一度つながったお客様との関係を大切にし、生涯にわたって自社を支えてくれるファンになってもらう「リピーター育成」が命綱になるはずなのです。
それにもかかわらず、バケツに穴が開いたままの状態で、効果の出ない新規集客の広告に貴重な資金を投じ続けている。この悪循環を断ち切ることこそが、私が全国を飛び回る最大の理由なのです。

第2章:「灯台下暗し」の罠―なぜ自社の強みに気づけないのか?

地方の企業が自らの良さを伝えるのが苦手である最大の理由は、能力がないからでも、やる気がないからでもありません。理由はもっとシンプルで、かつ根深いところにあります。

それは、「子供の頃から育ってきた環境があまりにも当たり前すぎて、それが特別な『強み』であるという事実に、自分たち自身がまったく気づいていないから」です。

人間は、毎日見ている風景や、毎日食べているもの、毎日当たり前のように行っている作業に対して、わざわざ「これは素晴らしい価値がある!」と感動することは稀です。

例えば、水が非常に美味しい地域で育った人は、蛇口から出る水が名水レベルであることを特別だとは思いません。澄み切った空気や、満天の星空、目の前に広がる美しい海や山も、そこで暮らす人々にとっては「日常の背景」にすぎないのです。

ビジネスにおいても全く同じ現象が起きています。

  • 「うちは創業以来、この製法でじっくり時間をかけて作っているだけだから、大したことはないよ」

  • 「地元の原材料をそのまま使っているだけ。特別なことは何もしていない」

  • 「手作業で一つひとつ検品しているけれど、こんなのどこの会社でもやってるでしょう」

彼らが「当たり前」「普通のこと」だと思って片付けているこれらの言葉の裏にこそ、大都市の消費者が喉から手が出るほど求めている「圧倒的な強み」や「ストーリー」が隠されています。

私のような「外の人間」から見れば、どの地域を訪れても、その企業が持つ独自の強みを活かせば、全国の人々、あるいは世界中の人々から興味を持ってもらい、熱狂的なファン(リピーター)になってもらえることは間違いありません。
まさに「灯台下暗し」であり、足元に埋まっている純金に気づかず、遠くの山へ宝探しに行こうとしているような状態なのです。

ここで、地方企業の「価値の認知ギャップ」を理解するための、非常に分かりやすい例を挙げましょう。日本の二大観光地であり、私が拠点としても置いている「沖縄」と「北海道」の事例です。

もしあなたが沖縄や北海道でビジネスをしていて、
「自社の商品の魅力や強みがイマイチ分からない」
「どうアピールすればいいか悩んでいる」
のであれば、最も手っ取り早く、かつ確実な解決策があります。
それは、「東京や大阪といった、大都市圏の人間に直接聞いてみること」です。

沖縄の方にとっては、生い茂るガジュマルの木も、のんびりとした時間の流れも、日常的に食べるゴーヤーや海ぶどうも、すべてが「普通の生活」です。しかし、東京の満員電車に揺られ、高層ビル群の中で分刻みのスケジュールに追われているビジネスパーソンから見れば、沖縄のその空気感、文化、食材のすべてが「非日常の癒やし」であり、強烈な憧れの対象になります。

北海道の方にとっては、冬のパウダースノーも、どこまでも続く地平線も、新鮮なアスパラガスやホタテが安価に手に入ることも「いつものこと」でしょう。
しかし、大阪の賑やかな街中で暮らす人々からすれば、あの圧倒的なスケール感の自然と、そこで育まれる食の豊かさは、それだけでお金を払う価値がある「至高のブランド」なのです。

東京や大阪の人間に、「うちの会社、こういう地域で、こんな風に商品を作っているんだけど、どう思う?」と聞いてみてください。彼らは、あなたが思いもよらなかったようなポイントに対して、「えっ!それって凄すぎるじゃないですか!」「なんでそれをもっとアピールしないんですか!?」と、自社の魅力や強みを数えきれないくらい教えてくれるはずです。

地方企業に必要なのは、新しい強みを無理やり作り出すことではありません。すでにそこにある、自分たちにとっては「空気」のように当たり前になっている価値を、「外の視点」というフィルターを通して再発見し、正しく定義し直すことなのです。

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