額に入った夕暮れ
岡本のおばあちゃんの仏壇周りに置かれている、額に入った手描きの絵。
久しぶりに岡本の家に遊びに来たが、前より絵が増えている。
岡本は高校の美術部で、数々の賞を取っているちょっとした有名人だ。
滲んだオレンジ空と雲の絵。
この絵だけ、ずっと仏壇の上に飾ってるのはなぜだろう?
「なぁ、岡本。この絵だけ上に飾ってるけど、なんか理由があるのか?」
「ああ、この夕暮れの絵は小学二年の時に描いた絵で、クラスの皆から下手くそって言われたけど、ばあちゃんは『素敵な絵だね。私は好きだよ』って褒めてくれてさ。それからなんだ。絵を描くのが好きになったのは。ばあちゃんがあの時褒めてくれなかったら、こんなに絵を描くことはなかったと思う。だからこの絵だけは特別なんだ」
「そっか。最高の絵だな」
「へへ、さんきゅー」
俺は仏壇に手を合わせると、岡本のおばあちゃんの写真と目が合う。
写真の中で、岡本が描いた夕暮れの光を浴びながら笑っていた。
たらはかにさんの企画に参加させていただきました。
以下の記事に詳細あります。
