誤字審査

机の上にそびえ立つホッチキス留めされた五百枚の原稿用紙の山。
一年掛けて書いた小説だ。
条件を満たせば、必ず小説家デビュー出来る出版社があるのを去年知り、空いてる時間を全て小説を書く時間に当てた。
その条件とは、まず原稿用紙五百枚きっちり埋めること。
そして、手書きであること。
最後に、これが一番重要で、誤字が一文字もないこと。
この出版社は小説の内容ではなく、正確性を重視しているらしい。
小説を書く時間より読み直す時間のほうが遥かに多かった。
五百枚の原稿用紙を何回も読み直すのは気の遠くなる作業で、合っているのかすら分からなくなる。
だが、俺はそれを乗り越え、完成させたのだ。
出版社へ行き、数人の審査員がいる審査室で原稿用紙を提出した。
一人目の審査員が原稿用紙を見た瞬間、口を開く。
「失格です」
「は?」
「字が汚くて読めません」
「うおおおおん!!」
一年の苦労が数秒で終わり、俺は狼のように叫んだ。


たらはかにさんの企画に参加させていただきました。
以下の記事に詳細あります。


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