月見バーバー
見ているだけで吸い込まれそうになる満月。
今日は残業で帰りが遅くなり、人通りが少なくなった商店街を歩いていると、一軒だけ店が開いていた。
店の前には、真ん丸の満月のような球体が光ながら回っている。
"月見バーバー"と書かれたレトロな看板。
こんな時間に床屋がまだ開いているとは。
少し、気になるな。
俺は吸い込まれるように床屋へ入った。
「いらっしゃいー!」
出迎えてくれたのは、笑顔が似合う満月の頭をしたおじさん理容師。
椅子に座ると、タオルだけ首に巻かれる。
「満月のような輝きをご希望ですかい?」
「こんな俺でも輝けますか?」
「ええ、人はいつだって輝けますから」
理容師は俺の髪なしの頭に何かの液体を塗り、優しい手つきで擦り付けていく。
塗り終わったあと、理容師はタオルで俺の頭をキュッキュッキュッと磨き上げる。
「出来上がりましたよ」
鏡に映った俺の頭は、満月のように光輝いていた。
こんな俺でも、まだ輝ける。
たらはかにさんの企画に参加させていただきました。
以下の記事に詳細あります。
