釜揚げ師走
店の扉を開けると同時に、冬の冷たい空気を打ち消してくれる白くて温かい湯気。
来年から個人で店を開くことになったので、直接報告をするため、うどん作りを教えてくれた師匠の店に来た。
人里から離れた所に店があり、メニューは釜揚げうどんのみ。
俺が修行していた頃、客足は疎らだったが、今は店内に客が詰まっている。
食べ歩きで有名な人がここの店をSNSに載せてから、客が一気に増えたらしい。
「……らっしゃい」
師匠は忙しくて床屋に行けてないのか、白髪がうどんのように伸びている。
「師匠!お久しぶりです!」
「ああ……」
目の下には大きなクマが出来ていて、顔がげっそりしていた。
「忙しすぎて毎日二時間しか寝てないし、年越しうどんの仕込みもしないといけない。ああ……最近風呂に入ってなかったな……」
師匠は持っていた釜揚げうどんを頭の上からぶっかけ、うどんを茹でている大釜に入ろうとしたので慌てて止める。
働き過ぎは、よくない。
たらはかにさんの企画に参加させていただきました。
以下の記事に詳細あります。
