【DTOPIA】芥川賞読んでいく:53冊目【2024年受賞作】
芥川賞の受賞作を片っ端から読んでいくということをしています。
今回は2024年(第172回) 芥川賞受賞作 を読みました。
文章も構成も荒くて読みづらかった。けど、あつかうトピックがよかった。問題を見る目があるのだろう。
生きた子供を使って『歴史上のこれ以前には逆行できない』っていう杭を打った
小説では一貫してハーフとして生まれた者の宿命が書かれている。例えば、最後ではこうした文がある。
「例えば多くの植民地には軍の基地が置かれているけど、そこでは軍人と現地民の間で子供が生まれるよね。で、フランス海軍のポリネシア撤退を訴えることは簡単だけど、その結果として生まれた子供を前に、軍をはじめから設けなければ良かったと言える人は少ない。それは現実の人間に生まれなければ良かったって言ってるのと同じだからね。
今の日本でも同じようなことが起こっていると思う。在日中国人が増加していて、その子供たちも中高生になってきている。彼ら彼女は中国人の両親を持ちながら、生まれた頃から日本で育っているから、話してみても日本人とは見分けがつかない。「私の両親中国人なんだ」と言われて、いったい誰が本人を目の前にして区別なんかできるだろう?
デート兵は、生きた子供を使って、『歴史上のこれ以前には逆行できない』っていう杭を打った。植民地ではいろんなものが兵器になるんだ。銃、核、選挙権、性欲、愛、ベイビー・・・ほぼ全ての行動が、力関係の中で兵器になれる。おれたちの笑顔も、この世界を温存させ、時間の流れを固定していく。やばいよね」
「力関係の中で兵器になれる」というのも分かりはするが、誇張に聞こえる。例えば、日本が排外政策を進めた時に、日本で生まれ育った在日を完全に排除できないだろう。それを”兵器”と呼ぶことは適切ではない。であれば、作者は何を兵器と呼んでいるのだろうか。
「おれたちの笑顔も、この世界を温存させ、時間の流れを固定していく。やばいよね」というのもなんだろうと思う。おれたち(ハーフ)の笑顔が世界を温存させる、というのは、彼らが完全な対外政策の進行を妨げる杭になるという意味だろう。”杭”という表現はよかったが、世界を温存というのがすんなり入ってこない。たしかに過剰な排外政策は予期せぬ分断を生んで、負の影響を生じさせるだろうから、”杭”の存在は国家間の均衡を安定させる(温存)役割を果たすと予想できる。
「時間の流れを固定していく。やばいよね」も訳がわからない。時間の流れを固定する?何がやばい?
選考委員の評言を読んでみた

性や国籍における主体性・多様性・マイノリティに言及する野心と、その熱量(エネルギー)を評価されている。
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