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私の細胞が喜ぶ【本】3冊

この記事は「京都くらしの編集室」の「noteチャレンジ」に参加しています。4月のテーマは【本】
本を通じて、2026年度のはじまりに、自分の現在地を確認してみました。

今月の noteチャレンジのお題を、毎月頭に確認する。2026年は年間を通じて『2026年、私の偏愛目録(カタログ)』というテーマ。シンプルに面白いと思った。

書くという行為は、はからずも自分の断片をさらす行為だと思っている。
芝居がライフワークとなっている私だが、舞台の上ではその人となりが容赦なく表現される。自分が自覚しているかどうかは別問題だ。誠実さもひたむきさも、ごまかしきれない愚かさも。文章もそれに似ていると思う。

私という人間を定義した3冊。
真剣に考えてみた。

1冊目:『ライオンと魔女』C.S.ルイス作 瀬田貞二訳

おなじみ、ナルニア国ものがたりの1作目。出会いは小学校の図書室。確か当時は、三年生くらいから図書室の本を借りることができたような気がする。
幼い頃から生きものが身近にいた私は、放課後、図書室に通うようになってからも、椋鳩十の童話や「星になったチロ」「狼王ロボ」「北極のミーシカムーシカ」など、タイトルに生きものが入っている本ばかり一通り読み漁っていた。
そんな中、初めて読み始めたファンタジー作品が、これ。
主人公は同年代の4兄弟姉妹。ロンドンから田舎にあるお屋敷に疎開した時のおはなし。
屋敷内を探検していて見つけた、古い衣装だんすの中に異世界が広がっている。そんな奇想天外なストーリーにとっぷりとハマった。
これを書くにあたって再読してみた。やはり面白い。
シリーズものなので全巻読んだが、一番面白かったのがこの1作目だった。
作者のC・S・ルイスはキリスト教弁証家で、子どもに向けてキリスト教の基礎を専門用語を使わずに書いた最初で最後の小説がナルニア国物語であったようだ。再読する際に知った。そんな大人の意図は子どもの自分には知る由もなかったが、それを知った後でも純粋に楽しめる作品であることは間違いない。
祖母とお出掛けした際に「本を買ってあげる」と言われ、岩波少年文庫の「ナルニア国ものがたり」シリーズ一揃い(箱入り)を持っていき見せた。当時、間違いなく一番欲しい本だった。
あの時の祖母の驚いた表情を今でも忘れられない。

2冊目:野に出た小人たち メアリー・ノートン作 林容吉訳

小人の冒険シリーズの2作目。これも小学校の図書館で出会った。
映画「借り暮らしのアリエッティ」が上映された時、有名になったなぁと感じた。私の肌感覚だが、ナルニアほど浸透してはいない気がしていた。
体長15cmほどの小人の親子の物語。私たちが普段何気なく暮らしている世界が、小人の目から見るとこんなふうに見えているのか、という視点の違いの面白さがあった。読んでいる最中に、部屋の隅から出てきたりしないかしらん、と妄想するのも楽しかった。
再読してみて思ったが、小人の親子はとても計画的でつつましやかに暮らしている。人間から借りたものを「借りぐらし袋」に入れ、少しずつ効果的に生活に役立てていく。人間はもとより、猫だって犬だって自分よりもはるかに大きい。危険と常にとなり合わせの生活は、備えておくことが大切だ。
シリーズの第5作目の訳者、猪熊葉子氏がそのあとがきで、本作をロビンソン・クルーソーと比較し「近代文明の終焉の意識をもって書かれている」と評し、「文明への過度の依存が種族の破滅に繋がりかねない。借り暮らしの姿は、そのまま現代人の問題でもある」と述べていたことを後ほど知った。
私たち人間の生活も、地球に借りぐらししていると言える。資源は有限だし、命にも限りがある。当たり前を維持していく感謝の気持ちを忘れずに。

3冊目:南総里見八犬伝 

世界文化社から出された「日本の古典シリーズ」の16。この本はグラフィック版で大きい。この記事を書くにあたり調べてみたが、実際に「八犬伝版本」などにある挿絵がふんだんに盛り込まれている。図版の目録、物語の解説、登場人物事典と盛りだくさんの内容である。
この本には地域の公民館で出会った。館内の図書スペースには、学校には置いていないような古めかしい本や小説、郷土史料などもあった。カーペットの上に腰を下ろして本棚にもたれ、隠れるようにして本を読むのも好きだった。物語の世界に浸るのが心地よかった。
単純に「犬」がついたタイトルだったから読み始めたのか、映画などで話の大筋を知っていたから読み始めたのかは定かでない。
物語に登場する8人の青年。「犬」の字を含む名字を持つ彼らは、仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の文字のある数珠の玉を持ち、牡丹の形の痣を身体のどこかに持っている。それぞれに苦労を重ねて人生を送っていたが、因縁に導かれて互いを知り、里見家の下に結集する。
まだ見ぬ同志に会える。不思議な導き。
作者の滝沢馬琴が失明してもなお創作を続けたエピソードにも尊敬の念を感じずにはいられない。

3冊を選んでみて

現在までずっと、小説、実用書、絵本など読書は続いている。
何を取り上げようか迷ったが、今回このテーマで書くとすれば、幼少期に衝撃を受けハマった3冊かなと思い、まとめてみた。
読書を通じて異世界に触れ、いつもとは違う視点を体験できる……。
言葉の素晴らしさ、すごさをあらためて認識できたような気がする。
3冊とも再読の折に地域の図書館、公民館で借りることができた。
ページをめくれば、懐かしいあの世界へ連れていってくれる。
読書は、旅することと似ているのかもしれない。

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