なぜ試作は成功したのに量産できないのか?原因は“設計不足”
設計不足
「試作品は評判が想定より相当良かったんだけど」
「技術的には完成品だから、量産に行けるはずだった」
「でも量産になると止まるケースが多いんだよね」
ものづくりの現場では、こうした話は珍しくありません。
実際、試作段階ではうまくいく。
しかし、
・コストが合わない
・品質が安定しない
・納期対応できない
結果として量産化できない。
このとき、多くの会社はこう考えます。
「製造の問題だ」
「現場が対応できていない」
しかし本質はそこではありません。
問題は、
“最初から量産を前提に設計していない”
ことです。
あなたの会社でも起きてないですか?
日本企業あるあるなんではないでしょうか。
これは企業規模に関係なく、大手でも起きてます。
1. 試作と量産は、求められるものが違う
ここを混同している会社は多いです。
試作では、
・まず作れるか
・性能が出るか
・顧客要求を満たせるか
が重要です。
一方、量産では違います。
・安定品質
・再現性
・コスト
・供給能力
が求められる。
つまり、
「作れる」と「回せる」は別物
なのです。
2. “職人依存”の試作は量産で崩れる
試作段階では、
ベテランや特定技術者が何とかしてしまうことがあります。
・経験値で調整
・現場判断で修正
・個人技で対応
これは短期的には強い。
熟練工が勘で試作品を作ってしまうこと
実は様々な企業で起きてます。
熟練工の方の技術へプライドと
その技術に依存し過ぎており
誰が作ってもその製品が作れる!
という量産設計前提が欠けている
んですね。
ものづくりを重視してきた
日本企業では職人の考えが
優先される傾向が強いと
経営支援の現場で感じております。
そして、当然このような傾向がある
企業では、量産段階に移行しようとする
と問題が出ます。
なぜなら、
再現できない
からです。
結果として、
・品質ばらつき
・作業属人化
・教育困難
が起きます。
3. 「営業視点」だけで進めると危険
もう一つ多いのがこれです。
「とにかく受注を取りたい」
この気持ちが先行し、
・製造負荷
・調達難易度
・量産リスク
を十分検討せず進めてしまう。
すると後から、
「こんなはずではなかった」
が始まります。
つまり、
設計段階で全体最適ができていない
のです。
これもよく生じる事象です。
特に原材料調達、つまりサプライチェーンの
確立の重要性が無視されるケースを
いくつもみてきました。
4. 量産とは“仕組み化”である
量産で本当に必要なのは、
「優秀な人」ではありません。
必要なのは、
安定して再現できる仕組み
です。
例えば、
・誰がやっても同じ品質
・一定時間で生産可能
・部材供給が安定
・トラブル時も対応可能
これが整って初めて量産になります。
5. では、どうすればいいのか
重要なのは、
「試作の段階から量産を考える」
ことです。
① 試作段階で“量産条件”を見る
まず必要なのはここです。
・材料調達可能か
・加工難易度は高すぎないか
・量産時コストは合うか
つまり、
“作れるか”だけで判断しない。
② 属人作業を減らす
ベテラン頼みでは限界があります。
・作業標準化
・条件管理
・工程整理
これを進める。
量産とは、
再現性を作る作業です。
③ 製造・調達・営業を早期に巻き込む
設計部門だけで進めるとズレます。
・営業
・製造
・品質
・調達
全体で見ないと、後で崩れます。
まとめ
量産できない会社は、技術力が低いとは限りません。
むしろ、
試作力が高い会社ほど陥ることもあります。
なぜなら、
「作れる」
ことに成功してしまうからです。
しかし本当に重要なのは、
“継続して供給できるか”
です。
ここを考えずに進めると、
試作品は素晴らしいのに、事業にならない。
そんな状態になります。
ものづくりで本当に強い会社とは、
“すごい試作”を作る会社ではなく、
“安定して回せる設計”を作れる会社
なのかもしれません。
