【第19回QCC勉強会】経営コンサルタントの実態 ~事業再生支援問~
5月17日に第19回QCC勉強会を開催しました。今回は、経営コンサルタントとして働いている私「まっつん」が講師を担当し、「経営コンサルタントの実態」というテーマで話しをさせていただきました。
QCCのメンバーは企業内で働いている方が多く、経営コンサルティングを本業にしている方は少数派です。
「コンサルって具体的に何をしているの?」と聞かれることも多いので、今回はできるだけ現場感が伝わるように、実際の事例を交えて話しました。
まずは仕事のイメージから
まず、私が働いているコンサルティング会社はどんな業務を行っているかを紹介しました。主な業務内容は次の4つです。
・業績管理制度の構築支援:儲けと損失が見える管理資料作成の支援
・事業承継支援:社長・後継者、それぞれの想いをすり合わせ、円滑に事業承継できる体制構築の支援
・事業再生支援:資金繰りが厳しい企業の再生計画作成と実行の支援
・計画経営の実行支援:「なりたい姿」への道筋を描き、一緒に伴走する支援
今回の勉強会は、私が一番行っている「事業再生支援」を中心に話をしました。
事業再生支援とは何か
そもそも、事業再生支援とは、「金融機関への返済や仕入先への支払いが厳しくなった企業に対し、支払いの猶予等を相談しながら、その間に立て直しを図る」ことです。事業再生支援には2つの進め方があります。
①私的整理:裁判所を介さず、金融機関に返済猶予の合意をもらい進める方法です。こちらは、手続きが非公開なので風評リスクを抑えられますが、お金を借りている全金融機関の同意が必要になります。
②法的整理:裁判所を介して、全債権者に対して返済交渉を行う方法です。こちらは、強制力がありますが、金融機関以外の全債権者(仕入先や外注先など)に公開されるため風評リスクがあります。
つい最近、全東信が破産手続きを申し立てて話題になった方法です。

私が主に担当している業務は①の私的整理です。
ちなみに、こうした「返済が困難な企業」は、中小企業の約15%、年間40〜50万社規模で推移しており、倒産件数もコロナ禍以降増加傾向となり、コンサルタントの支援を必要としている企業は、とても多いです。

私的整理の3STEP
私的整理を詳しく説明します。私的整理は、3つのSTEPで進みます。

STEP1:調査・報告フェーズ
まず財務DD(デューデリジェンス)と事業DD(デューデリジェンス)を行い、「なぜ会社の業績が悪化したのか(窮地に陥っている要因と言います)」を解明します。
この結果を、金融機関が一堂に集まる「バンクミーティング」で報告し、金融機関に会社の状態を知ってもらいます。
STEP2:計画フェーズ
STEP1で作成したDDの報告書をもとに、会社がどうすれば改善できるか、改善した場合に売上や利益がどう変わるかを示す「数値計画」を一緒に考え、経営改善計画書(再生計画書)としてとりまとめます。
計画書が完成したら、その内容を報告するバンクミーティングを再度開催し、全金融機関の同意を得ることができれば、再生計画は成立となります。
STEP3:モニタリングフェーズ
再生計画の成立後に大切なことは、会社が計画を達成することです。そのために、会社が計画を実行し、達成できるよう、モニタリングフェーズはそばで支援していきます。
財務DDについて
中小企業診断士の方々は、実務補習や養成課程で「事業DD」を経験したことがある方も多いと思います。
一方、「財務DD」まで経験したことがある方は、意外と少ないと思い、今回の勉強会では財務DDに少しスポットを当てて、ご紹介しました。
財務DDの進め方はシンプルで、
①まず勘定科目の明細を一覧に整理し、
②その明細が実態と合っているかを確認・修正し、
③最後に中小企業特有の事情(経営者と会社との貸し借りなど)を踏まえて最終的な判断
という3つのステップで進めます。
ポイントは、修正する際は「感覚」で判断せず、中小企業庁が出している中小企業再生支援スキームという基準に沿って数値を修正していくことです。

勉強会では参加者の皆さんに、ある金属加工業のケース事例を読んでいただき、「①経営上どのような問題が起きているか」「②財務DDを行うとしたら、どの科目・どの点を確認するか」という2つの設問に答えていただきました。

このケースには「窮境要因(会社が窮地に陥っている要因)」の典型パターンが詰まっています。棚卸資産の急増、役員への使途不明な貸付金、社長親族への牽制が効いていない管理体制…実際の再生現場でも繰り返し見られるパターンを、皆さんに体感していただきました!

講師としての感想
今回の勉強会の準備で、事業再生の本を改めて読み直しました。再生業務を7年ほどやってきた今だからこそ気づける学びが多く、自分の頭の中にあった知識を棚卸しする、良い機会になりました。
こうして知識を棚卸しする中で、あらためて強く感じたことがあります。それは、「同じ診断士の皆さんに、事業再生の分野へぜひ一度チャレンジしてほしい」ということです。
中小企業診断士は、唯一の経営コンサルタントとしての国家資格です。そして、支援が必要な中小企業は年間40〜50万社規模あります。
診断士の知識や視点を活かして、支援が必要な企業に、ぜひ手を差し伸べてほしいです。

今後もQCC公式noteでは、勉強会の様子を定期的に発信していきます。
ぜひ「スキ」で応援いただけると嬉しいです!
