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「性能向上」を語るのをやめたら売れた。価値提案を顧客の利益に翻訳するマーケティング術

「この新製品を採用すれば、御社製品の性能は現行より15%向上します」

自信を持ってそう提案したとき、顧客の顔が曇ったのを今でも覚えています。 技術的には間違いなく「良い提案」のはず。 なのに、返ってきた言葉は「検討します(=これ以上コストは上げられない)」でした。 

結論から言えば、B2Bビジネスにおいての価値提案は、スペックの向上ではなく、その性能が顧客のビジネスをどう変えるかという「利益の翻訳」です。

「なぜ、うちの製品の良さが顧客に伝わらないんだろう?」 もしあなたがチームリーダーとしてそう感じているなら、それは説明スキルの問題ではなく「言語のレイヤー」がズレているだけかもしれません 。

マーケティングに関する実施的なコツをマガジンにまとめています。
こちらもご覧ください。


「良い製品は売れる」の罠:顧客は「製品の性能」そのものを欲してはいない

私たちは、つい「性能を上げること=善」だと信じて疑いません。 しかし、顧客(メーカー)にとって性能向上は、時に「設計変更の手間」や「原価上昇」というリスクを伴うものです。 

エンジニアが語る「性能」という言葉は、経営層には「コスト増」として届いてしまう。 この言語のズレを解消しない限り、どんなに優れた技術も宝の持ち腐れになってしまいます。 


価値提案(Value Proposition)の基本形:4つの問いで骨格を作る

提案を練る前に、まずは普遍的な価値提案の「骨組み」を確認しましょう。 

  • 誰に:顧客企業の、どの製品ラインの責任者か。

  • 何を:性能アップによって、どんな「ビジネス上の困りごと」を解決するのか。

  • なぜ今:なぜ競合他社が動き出している「今」、導入すべきなのか。

  • なぜ自社:単なるスペック比較ではない、自社ならではのサポートや信頼性はどこか。


【体験談】「性能向上」を語るのをやめて、数千万円の受注に至った理由

私がかつて、ある顧客に新製品の提案をしていた時の話です。 

Before:性能の向上をそのまま提案 
当初、私は「弊社の新製品を使えば、御社製品の精度が10%上がります」と、製品のポテンシャルをストレートに訴求していました。 しかし、顧客の反応は「今の精度で十分間に合っている」という拒絶でした。 

After:顧客のビジネス成果へ「翻訳」して提案 
そこで私は、言葉を「翻訳」して再訪問しました。「この10%の精度向上により、御社がターゲットとしている違う業界への参入が可能になります。従来は対応できなかった超微細加工が可能になり、御社製品の販売単価を30%引き上げることができるはずです」

結果、わずか一週間で数千万円規模のProjectがスタートしました。 顧客が欲しかったのは「10%の性能アップ」ではなく、「高単価市場への参入切符」だったのです。 


B2Bで刺さる「4つの隠し味」

顧客の「Yes」を引き出すには、性能に加えて以下の4要素を盛り込みましょう。 

  1. リスク低減:導入による不具合の可能性をどう潰しているか。 

  2. 工数削減:部材共通化など、顧客側の設計工数がどれだけ減るか。

  3. 成果再現性:他社での成功事例や、テストデータによる裏付け。

  4. 社内説明のしやすさ:担当者がそのまま経営会議で使える資料・文言


これを1枚で埋めにいくのが最短です。

【価値提案(Value Proposition) 1枚シート】

  • 対象顧客(誰に):

  • 顧客の状況(いま何が起きている):

  • 解決したい課題(困りごと):

  • 提供する変化(何がどう変わる):

  • なぜ今(放置コスト/環境変化):

  • なぜ自社(根拠:事例/データ/仕組み):

  • B2Bの4要素チェック

    • リスク低減:

    • 工数削減:

    • 成果再現性:

    • 社内説明:

ここまで埋まると、顧客に響く価値提案になります。


実践:スペックを利益に変える「翻訳シート」

日々の議論で迷ったら、この翻訳表に当てはめて考えてみてください。

自社視点(性能語) → 顧客視点(利益語)

  • エネルギー効率20%改善 → 工場の電力コストを削減し、製品1個あたりの粗利を向上させる

  • 耐久性が2倍に向上 → 故障によるライン停止(ダウンタイム)のリスクを半減させる

  • 小型軽量化を実現 → 顧客製品の輸送コストを削減し、さらにスタイリッシュなデザインを可能にする

  • 独自の精密加工技術 → 競合他社が追随できない「高付加価値製品」への進化を支える


まとめ:エンジニアの誇りを、顧客の成功へと繋ぐ

最後に、本日のポイントをまとめます。

  • 「性能向上」は手段に過ぎない。その先の「顧客の利益」を語る

  • 基本4要素(誰に/何を/なぜ今/なぜ自社)で提案を構造化する

  • B2B特有の「リスク低減・社内説明」という隠し味を忘れない

  • スペックという「専門用語」を、ビジネスという「共通言語」に翻訳する

エンジニアのこだわりは、日経企業の誇りです。 その誇りを顧客に届けるために、ほんの少し「翻訳」の視点を加えてみてください。

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