椅子めぐり 青山キラー通り篇
2026年4月中旬。
私たちは椅子めぐりの途中である。
カール・〇ンセン&サンを出た私たち。
次はどこに行こうか。
カリ〇クもあるらしいけど、少し遠いね。
そろそろ外苑前方面に向かうか。
妻は夕方から新国立に行くとのこと。
ミセス・〇リーンアップルのコンサートである。
そういえば、グッズを持った人が増えてきた。
外苑前方面に歩くと、そこにル〇スポールセン。
もはやテーブルでもチェアでもない。
でも覗くよね。

ル〇スポールセンは照明メーカーである。
「PH5」はよく見かける。
個人的には「ラジオハウス」が好き。
かっこいいと言うよりかわいい。
丸と四角の中間的なフォルムがいいね。
真鍮シリーズもかわいいね。
お値段はかわいくないね。
途中でアンティーク家具屋も見つけた。
中に入ると、飴色の家具たち。
販売前にメンテナンスしているとのこと。
ネイ〇ンのエクステンションラウンドテーブル。
こちらもダイニングテーブルの候補。
こちらのローテーブルはa〇tekですね。
フォルムでわかる。
妻に教育され続けた、私の感度があがっている。
ちょっと休憩するか。
外苑前のHUBは開店前。
ベローチェにしよう。
ベローチェは混んでいた。
〇セスのファンが多い。
私たちはビールを注文する。
妻は飲酒コンサートである。
妻はa〇tekを取り入れたいらしい。
特にダイニングテーブルを。
しかしお値段が高い。
a〇tekは小物で取り入れたらどうか。
でもダイニングテーブルこそ一生使う。
そこに魂込めなくてどうする。
この話は永遠にできる。
そろそろコンサートの時間である。
店内は〇セスファンに、ス〇ローズファンが入り混じってきていた。
ここは神宮球場も近い。
妻を見送る。
私はひとりでもう少し家具を見ることに。
放し飼いの時間である。
私には見たいダイニングチェアがある。
「M崎椅子」である。
M崎椅子は動画配信で知った。
徳島の会社である。
妻が知らないメーカー、ということが良い。
インテリア大好きなあの妻が。
webで調べると、M崎椅子を取り扱うお店が近くにあるらしい。
青山キラー通りを新国立方向に歩く。
たどり着いたのは小さな家具屋。
ここだ。
小さくて、入るのも少し怖い。
悩むほど入れなくなる。
えーい、はいっちゃえ。
せまい。
年配の男性店員がひとり。
「今日は何をお探しに?」
他にお客さんはいない。
1on1である。
逃げ場がない。
勝手に見て、勝手に帰りたいのだが。
店員さんの説明が始まる。
「どこか見てきたのですか?」
a〇tekとかカール・〇ンセンとか。
「ではYチェアはご存知ですね。」
最近知った感じです。
「Yチェアは、会社として経営を続けるために作られたヒット商品です。」
M崎椅子が見たい、と伝えられない。
Yチェアのデザインはハンス・J・ウェグナー。
「彼の別の代表作であるザ・チェア、こちらにお座りください。」
座らされちゃったよ。
これは長くなりそう。
Yチェアは工業化に向いたデザインとのこと。
必ずしも人間の体にベストフィットではないとのこと。
「次はこちらにお座りください。」
次に座ったのは「PP68」。
同デザイナーの後期の作品。
こちらの方が座り心地を追求しているらしい。
肘掛けの位置がいい。
確かに座りやすい。
名作椅子は決して安いものではない。
しかし、何にお金をかけるかの考え方であると、店員さんは言う。
「自動車なら数百万平気で買うでしょう?」
「でも自動車も一年乗って売りに出せば数十万価値が下がっている。」
「この椅子の価値は下がりません、あがることだってある。」
正直この手の言い回しは苦手だ。
別に投資がしたい訳ではない。
私は、愛すべき椅子が欲しいのである。
「北欧では、高いリビングチェアがあらゆる福祉施設に入っている。」
金銭の価値の話から、価値観の話に展開する。
北欧においては、老後、福祉施設でのんびり暮らすのがステータスであるとのこと。
そこには「良い椅子」が欠かせないとのこと。
良い椅子に座ることは、幸せのかたちであると。
それはなんとなく共感できる。
デンマークという国について話がはじまる。
家具製造に力を入れてきた歴史があるらしい。
名作の椅子も多い。
なかでも店員さんのおすすめが「PP68」なのである。
「でも、お値段高いですよね。」
それはそう。
「そこでおすすめがM崎椅子です。」
入店からここまで45分かかりました。
座ったのは「No.42」。
背もたれにクッション、座り心地しっかり。
ハーフアームの位置も角度もちょうどいい。
後ろから見ると少し内股、シャープな見た目に一役買っている。
「No.42」のオリジナルは1950年代。
デンマークのカイ・クリスチャンセンというデザイナーによる椅子である。
それをM崎椅子がリバイバルするにあたり、カイ・クリスチャンセン側に連絡を取って以来、両者の交流が続いているとのこと。
「家具にはストーリーも大事です。」
現代において、ダイニングチェアは食事するだけではない。
スマホいじってるかもしれない。
テレワークもするかもしれない。
つまり、一日中座っているかもしれない。
「座りやすい椅子を探す必要があります。」
店員さんは力説する。
「単にファッションではないのです。」
座面の高さ違いも用意されていた。
そのままだと、私には少し高い。
低めの方が踵がついて楽かな。
M崎椅子は「No.42」に合わせたダイニングテーブルも作っているらしい。
魂こもってる。
「まず椅子を決めて、それに合うダイニングテーブルを選ぶべき。」
うちの妻、a〇tekのテーブルを先に決めちゃいそうだよ。
入店から1時間経とうとしていた。
そろそろ出たい、疲れてきた。
メモして帰っていいか訊く。
「印刷するので、待っててください。」
待ってる間、店内を見回す。
「VP GLOBE」がぶら下がっている。
ヤ〇ギワのショールームで出会ってから2度目。
科学館にありそう。
これは未来的、そして小さい宇宙だ。
私には使いこなせそうにない。

プリントをもらい、名刺を渡される。
とりあえずこちらも名乗る。
せまい店内で1時間は少し疲れた。
でも面白い話が聞けたのでよしとしよう。
帰ったら、妻に話したい。
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