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誰も本当のことなんて語らない。だから、フィクション(物語)がある

NHKの対談番組・スイッチインタビューの中で、桜木紫乃さん(直木賞作家)が言った言葉が、刺さった。

フィクションの中じゃないと、本当のことなんて分かってこないと思っているので…だって、誰も本当のことなんて、自分の口から語るわけないんだもの。

スイッチインタビュー
「佐野史郎×桜木紫乃」EP2・12月12日(金)

桜木さんは家族のことをモデルに小説を書いている。対談相手の佐野史郎さん(俳優)が、「書きたいことはあるけれども、家族のことは怖くて書けない」ともらすと、間髪入れずに桜木さんは、「だって、フィクションだもの」と言った。その後に、続けて言ったのが上記に引用した言葉である。「誰も本当のことなんて自分の口から語らない」。

これは誰もが身に覚えがあるのではないかなと思う。自分のことでもあるし、誰かのことを思い浮かべたりもするだろう。

私たちは、人の気持ちを知りたいというトラップにしばしば足をとられる。知りたい相手が本当のことを話してくれたと思っても、本当らしいことを話しただけで、本当のことなど本人も分かっていないかもしれない。このトラップは、自分にとって重要な局面ほどはまりやすい。

気持ちが知りたいとは、納得したいとほとんど同じ意味で使われることが多い。そうしなければ、頭も心も混乱してしまう時があるからだ。

ビックデータをいくら集めても、心理のメカニズムをいくら研究しても、私たちは納得できない。心が収まらない。

だから物語が必要だ。でもそれは、フィクションにすぎない。語り手にとっての本当で、もしかしたら、多くの人たちの本当でもあるかもしれないが、全ての人ではない。

私は、小説や映画が好きだ。人が創る素晴らしいものの一つだと思う。人に疲れてつい嫌になりそうになった時、人ではなく、人が創ったものに視点を移す。人が創った嘘(フィクション)は、私を癒やし、励ましてくれさえする。


お読みくださり、ありがとうございました。


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