42歳、正規雇用の壁
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1. かつて、椅子は邪魔なものだと思っていた。
人間は、自分が持っていないものの価値を、失ってから初めて知るようにデザインされているらしい。
私は今、42歳になり、わけあって「正規雇用」という切符を探している。
会社員というレールを自ら降りてから、気づけば10年以上が経っていた。その間、私は自分の力で稼ぎ、自分の名前で生きてきたつもりだった。だからこそ、今になって自分が「正社員」というシステムの恩恵を切実に欲している事実に、誰よりも私自身が驚いている。
10年前、あるいは自分のビジネスがうまく回っていた頃、私は正規雇用のデメリットばかりを数えていた。
組織に時間を切り売りし、理不尽な命令に従い、人間関係に徒労する。そんなものより、フリーランスとして、あるいは個人事業主として自分の商売を立ち上げる方が、圧倒的にスマートで自由だ、と。
実際、私の「瞬間最大風力」は2020年のコロナ禍あたりにあった。
自らが行う発信活動の網の目に、Google、Amazon、楽天、note、インフォトップといった巨大なインターネットプラットフォームが引っかかり、毎月のように40万、50万という数字が、まるで自動生成されるように口座へ振り込まれていた。
私はそれを、自分が作り上げた「ストックビジネス(労働を伴わない資産型収入)」だと思い込んでいた。
しかし、それは傲慢な錯覚に過ぎなかったのだ。
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